世の中で一番多い心の病は「依存症」

皆さんは世の中でいちばん多い心の病、精神障害って何だと思いますか。うつ病でしょうか、統合失調症でしょうか。あるいは最近はやりの適応障害とか、トラウマによるPTSDとかいろいろありますが、いちばん多いと思われるのは……実は依存症です。

ある統計によると、アルコール依存症が国内でおよそ200万人。軽症の人を含めたら500万人という説もあります。タバコをやめられないニコチン依存症が1,400万人。それからパチンコを主としたギャンブル依存症が200万人から1,000万人いると言われています。

そして、いかにも現代的なのがインターネット依存症で、2012年の統計(当時のスマホの普及率は2割程度でした)では270万人だったのが、スマホの時代になってそれが5倍ぐらい増加したという説もあります。

少なくともスマホが手離せないという人がおそらく2,300万人いるという話もありますから、そういうスマホ依存症を含めると、なんらかの依存症の人は日本全国に最大で5,000万人ぐらいいると考えられます。

ところが厄介なのは、それらの依存症が病気とは思われていないことです。たとえばスマホが手離せなくて、手もとにないとイライラするとか、あるいは仕事中もついついスマホを見てしまう。これは我々精神科医から見れば明らかに依存症ですが、そんなの当たり前じゃないかって思っている人が多いのです。