うつ病を患っている人のうち、およそ1割が自殺を図ってしまうという現状があります。精神科医の和田秀樹氏は、「老人性うつ」を抱えた家族を持ったとき、自殺をさせないためにできることがある、と語ります。和田氏の著書『65歳からおとずれる 老人性うつの壁』(KADOKAWA)より、詳しく見ていきましょう。
「死にたい」という言葉が出てきた場合は、厳重な注意が必要
②身辺整理を始めたら危険信号なので注意
うつ病の人は、かなりの確率で死にたいと思ったり、死を意識したりするものですが、その気持ちがだんだんと強くなってくると、それが行動や言葉に表れるものです。
例えば、身辺の整理です。「ちょっと大掃除をしないといけないと思って」などと言って、身辺のものを整理するのは、相当危険な信号といえます。うつ病でない人だとしても、高齢者の場合のこういった行動には、一応気をつけたほうがいいですが。
特に、自殺という言葉を実際に口に出したり、「死にたい」という言葉が出てきた場合は、厳重な注意が必要です。「死にたいと言って自殺した人はいない」「かまってほしいだけ」などと勝手なことを言う人がいますが、そんなに単純なことではありません。
「自殺」を口にして自殺しない人は確かに大勢いますし、パーソナリティ障害の人には、しょっちゅう「自殺をする」と脅しをかけて周囲を振り回す人がいますが、うつ病の診断を受けていない人も含めて、自殺をほのめかす人のほうが、そうでない人と比べて、何十倍も自殺のリスクが高いのは事実なのです。
自殺を実際に口に出さなくても、危険信号と考えられるのは、次のような言葉です。
・「いなくなりたい」
・「早くお迎えがきてほしい」
・「(亡くなった)お父さん(お母さん)のところへ行きたい」
・「早くお迎えがきてほしい」
・「(亡くなった)お父さん(お母さん)のところへ行きたい」
あるいは、唐突に次のような改まった挨拶をするときもかなり危険です。
・「息子(娘)のことを今後もよろしくお願いいたします」
・「お世話になりました」
・「お世話になりました」
他に、行動面で次のようなことが見られるようになった際も要注意です。
・思い出の場所を訪ねる
・不自然なくらい、明るくふるまう
・勝手に治療を中断してしまう
・感情が不安定になったり、怒りっぽくなる
・ささいなことでトラブルを起こす
・酒量が増える
・不自然なくらい、明るくふるまう
・勝手に治療を中断してしまう
・感情が不安定になったり、怒りっぽくなる
・ささいなことでトラブルを起こす
・酒量が増える
この中で、「勝手に治療を中断してしまった」という場合は、「治療がうまくいっていない」と本人が思っていて、「もう自分は治らないのだ」とやけを起こしている可能性が高く、意外と危険なサインなのです。