安定のイメージが強い公務員。なかでも国家公務員は、現役時代の給料や退職金額も高く、ひと昔前までは「絶対安泰」といったイメージがありました。しかし現在では、意外にも定年後になって生活が苦しいと訴える人も多いようです。本記事では、Aさんの事例とともに国家公務員の定年退職後について、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
「どうぞ一人で生きていってください」…退職金2,700万円、“老後資金潤沢な61歳・元エリート国家公務員”を妻が見放したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

離婚を切り出され…

8歳下の奥さんは、「将来、こんな夫の介護をしないといけなくなるかと思うと希望もなにもないわ」と友達などに愚痴を言うようになりました。奥さん自身も年収は800万円を超えていますし貯蓄も十分にありますから、一人になっても暮らしていける自信は十分にあります。毎日遅くまで残業して帰っても、思いやりのある態度も示さない夫にとうとう奥さんは離婚を切り出します。

 

「いつまで部長のつもりでいるの? うちの高校の男の子はアルバイトもするし料理もしているのに……いまの男の子のほうがあなたよりもよっぽどしっかりしてますよ! どうぞ一人で自由に生きていってください」と言われ、Aさんはビックリしてしまいます。

 

現在、まだ離婚は成立していませんが、奥さんはマンションを借りて一人で暮らしています。プライドの高いAさんは反省はしていますが、すぐに帰ってくるだろうと思っているのか奥さんに謝りにも行きません。独りになってしまった寂しさを感じながらも生活を変えられない日々を送っているAさんです。

 

Aさんについては、お金の使い方を見直して、家事を手伝ったり思いやりの言葉をかけたりするだけで、ご夫婦の関係性は大きく変わるかもしれません。公務員に限りませんが、定年後に働く人も働かない人も、現役時代から定年後の生活を考えておく必要がありますね。

 

<参考>

※人事院「令和5年退職公務員生活状況調査報告書
https://www.jinji.go.jp/content/000002425.pdf

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表