妻に先立たれた夫。全面的に家事は妻が行っていたから、ひとり残された夫の生活は荒れに荒れる……よくあるパターンです。そんな心配を解消するひとつの選択肢が「老人ホーム」への入居。食事から掃除、洗濯……と身の回りのことはすべてやってくれるから、家事はてんでダメという人でも安心です。しかし入居したらそれで安心というわけではなく、なかには退所に追い込まれるケースも珍しくありません。みていきましょう。
悔やんでいます…40代娘と同居解消、年金20万円・70歳の父「老人ホーム入居」も3ヵ月で<体重10キロ減>→<退所>の「まさかの理由」

40代娘は海外へ、70歳の父は老人ホームへ…3ヵ月後の再開で娘、驚愕

国土交通省の資料によると、有料老人ホームを含む、高齢者向け施設に入居しているのは全国で224万人。2023年9月15日現在、日本の高齢者は推計で3,623万人なので全体の6%。決して、高齢者の住まいの主流ではありませんが、少ない数字ではありません。

 

――自宅で住み続けるのは大変だからと、老人ホームに入居する人も増えているみたい

 

と親戚。確かに、老人ホームであれば、家事が苦手(というよりも、やっているのを見たことがない)な父にとってはうってつけだと考え、父に提案したとのこと。初めは「俺はまだ70歳だぞ、老人ホームなんて」といっていたものの、実際に見学しにいくと「悪くはないな」と満更でもない様子だったといいます。

 

父の希望は、

・月額費用は毎月の年金で賄えるところ(父の年金は月20万円ほど)

・自宅に戻りたいときに戻れるよう、ある程度の自由がきくところ&自宅からの比較的近いところ

 

そんな条件にあう施設を3軒ほど見学し、そのなかのひとつに無事、入居が決まったといいます。

 

同居を解消し、父は老人ホームへ、娘は海外へ。新しい生活が始まって3ヵ月後、女性はたまたま帰国する機会があり、ついでに父の様子を見にホームに面会しにやってきたといいます。そこで衝撃的な父の姿が……。

 

――おっ、お父さん、どうしたの?

 

以前よりも明らかにげっそりしている父。3ヵ月で体重が10キロほど落ちてしまったといいます。

 

――何があったのよ

――……美味しくないんだ

――えっ⁉

――食事が美味しくないんだ

 

話を聞いていくと、ホームで提供される食事は味が薄く、口に合わないんだとか。「一緒に住んでいるときは、私の口に合わせて食事を作っていたから、濃い味付けだったからな……」。健康に気を遣った食事も、父の口には合わず、日に日に食べる量が減っていったといいます。たまに自宅に戻って自炊……これも父には無理な話でした。

 

――外で何か買ってきて食べるというのは?

――そんなもったいないことできるか。ちゃんと食事代を払っているのに

 

健康に良い食事のはずが、父は不健康に……なんとも皮肉な話ですが、このままでは父が倒れてしまうと、一旦、老人ホームは退所し、一時的に親戚の家へ。「きちんと見学には行ったが、きちんと試食をさせてもらうべきだったな」と後悔の念を口にする父。新たに「食事が口に合うところ」という条件を加えて、見学を続けているといいます。

 

[参考資料]

厚生労働省『高齢者の住まいに関する現状と施策の動向』