年金への依存が大きくなる老後。年金の受取額を増やしたいと、誰もが思うでしょう。そこで検討したいのが「年金の繰下げ受給」。特に65歳以降も働き続け「年金をもらわなくても生活できる」という場合、年金を受け取らず、増えていく年金ににんまりとする、というのもひとつの選択肢。しかし、きちんと制度を理解しておかないと、損を被ることに。みていきましょう。
65歳で月17万円だったが…「年金が増えますよ!」にノリノリの夫が74歳で急逝、「遺族年金額」を知って声を荒げる妻「年金の繰下げなんて意味ないじゃない!」

日本年金機構から届いた「緑の封筒」…そこに1本の電話

日本の年金は原則65歳から。65歳に達すると、年金を請求する権利(受給権)が発生します。その3ヵ月前、日本年金機構から「緑の封筒」に入った「老齢年金請求書(事前送付用)」が届きます。必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、添付書類とともに年金事務所に提出すれば手続きが完了するのですが、そんな「緑の封筒」が届いた後、あなたの電話に着信が。

 

――もしもし⁉

――いつもご利用ありがとうございます。OO銀行です

 

どこで情報を得るのか、疑問に思うかもしれませんが、口座のある金融機関から「年金相談会に来ませんか?」などというお誘いがあることも。そして年金相談会では、社会労務士や税理士などの専門家から、直接アドバイスを受けられることも多いとか。銀行利用者へのサービスで行われているもので、そこで聞けるアドバイスは中立的。複雑怪奇な年金制度、せっかくの機会を有効利用するのもおすすめです。

 

そんな年金相談会に夫婦で参加したという女性。そこで「年金の繰下げ制度」のことを初めて知ったといいます。この制度は、老齢基礎(厚生)年金を65歳で受け取らずに、66~75歳までの間で繰り下げて増額した年金を受け取ることができる制度。増額となった年金は一生変わらず、また老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げることもできます。増額率は、1ヵ月遅らせるごとに0.7%。70歳まで繰下げると50.4%増、75歳まで繰下げると84.0%増。65歳で受け取るよりも、最大約2倍にもなる制度です。

 

女性の夫はまだ働いているため、まだ年金は必要としていません。

 

――それなら繰下げとやらをしてみようかな

 

とノリノリで「年金の繰下げ受給制度」を活用することになったといいます。繰下げ受給を希望する場合は、66歳以後で繰下げ受給を希望する時期に手続きを行えばOK。手続きを行った時点で繰下げ増額率が決まります。