わずか100円程の保険料で、最高2,000万円の治療費を払ってくれるがん保険の保障「先進医療特約」。お金を気にせずに最先端の治療を受けられるため、付加しているという人も多いでしょう。しかし、この特約には多くの人が知らない驚愕の事実があって……。本記事では、飯田幸恵さん(仮名/41歳)の事例とともに先進医療特約の注意点について、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏が解説します。
年収500万円・41歳女性、“肺がん”罹患…治療後に「先進医療特約」の驚愕事実を知って大後悔【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

納得してがん治療を選ぶために

がんはまだまだわからないことも多く、世界中で治療の研究が行われています。がん治療最前線も日進月歩で変化していくのですが、実はその変化に応じてがん保険の保障内容も変化してきています。

 

そして今回の先進医療特約が代表例なのですが、加入してもその治療にたどり着けず保障を使う機会がない、そんながん保険の保障が近年増えてきています。

 

「先進医療」に関する正しい知識

先進医療とは、国立がん研究センターによると、

 

保険診療として認められていない医療技術の中で、保険診療とすべきかどうかの評価が必要であると厚生労働大臣が定めた治療法(評価療養)です。効果や安全性を科学的に確かめる段階の高度な医療技術で、実施できる医療機関が限定されています。

 

とあります。文中の『評価療法』という文言ですが、わかりやすくいうと「実験段階の治療」ということです。先進医療は将来的に健康保険適用にして、多くの患者さんが安価な自己負担で受けられるようにすることが適切かどうか、判断するためのデータを取っている段階の治療です。

 

ですから、まだ高い治療効果や安全性が確認されていない治療のため、主治医からは勧められることはありません。それは国が推奨していないからです。

 

事例のなかの飯田さんが主治医から「飯田さんのがんでは手術が標準治療、先進医療は科学的根拠に乏しく勧められない」といったのは、それが根拠になります。標準治療というものが『国が患者さんに推奨されるべき治療として認めた、その時点における最良の治療』という意味合いになります。

 

どうしても先進医療という言葉はその響きのよさからか、魔法の治療のような印象を持ってしまいます。しかし、決して魔法の治療ではないということをあらかじめ知っておくことが大切です。つまり、先進医療特約も、治療の効果が高い、高価な治療だが、特約そのものの保険料としては安価で大変お得、とは一概にはいいきれません。

 

そのうえでどうしても先進医療も比較検討したい場合には、その治療を行う医療機関へ自分で足を運び、その治療を行う医師から治療を受ける対象かどうか診断をしてもらう必要があることも知っておきたい知識事項です。