糖尿病を防ぐには、脂肪を落とすことが重要です。脂肪を落とす手段として「運動」が思い浮かびますが、「減量するには運動だけでは難しく、食事から見直すことが大切」と、肝臓外科医の尾形哲氏は言います。尾形氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れないスマート外来のメソッド』(KADOKAWA)より、実際のエピソードとともに見ていきましょう。
「2型糖尿病」が改善する可能性も?…「3ヵ月で10kg減量」を達成する〈5つの極意〉とは【専門医が推奨】
3ヵ月で「10kg減量」を目標に
【登場人物】
・前田 広人(会社員)……20代から10kg以上太ってしまった30代の会社員。健康診断により「肝機能」と「糖代謝」で要精密検査となり、スマート外来へ。スポーツドリンクの大量摂取が一因となり、「境界型糖尿病」と「脂肪肝炎」との診断が下される。
・前田 美希(主婦)……広人の妻。妊娠5ヵ月。
・尾形 哲(医師)……肥満・脂肪肝専門外来「スマート外来」担当医。外来患者の8割以上を3ヵ月で5kg減、脂肪肝改善に導くメソッドを確立する。
「こんにちは。このイスで座りにくくはありませんか? 気分が悪くなったりしたら、すぐに教えてください。今日はお2人そろって来てくださって、ありがとうございます。広人さんから、話は聞かれましたか?」
「はい。夫を学生時代から知っているので、体型がずいぶん横に大きくなったと感じていました。仕事も忙しいようで、どうしても夕飯が遅くなっていることが気がかりでもありました。ただ、糖尿病に片足を突っ込んでいる状態までとは思っていなくて……。先生、何が悪かったんでしょう?」
「大切なのは、今日からどう生活して体を改善していくかになります。それを、一緒に考えていきましょう。失礼ですが、奥さんのお名前も教えていただけますか」
「はい。前田美希と申します」
「先ほど美希さんも気にされていましたが、広人さんは20歳のときと比べて10kg体重が増えたということですね。前回の計測結果では、広人さんは身長175cm、体重90kg、骨格筋量31kg。体脂肪率28%。肥満度の指標になるBMIは29.4。骨格筋量は30代男性の平均よりも多いですが、中等度の肥満です。ここで、3ヵ月後の目標体重を設定しましょう。広人さん、何kg痩せたらいいと思いますか?」
「とりあえず、少し運動量を増やせば、5kgくらい減らせるでしょうか……」
と、不安げに答えた。