脂肪肝の改善には、食生活を整えることが重要です。医師と脂肪肝と診断された由美さん(仮名)の会話を通して食習慣を見直しながら、具体的な糖質の摂取量について見ていきましょう。尾形哲氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れないスマート外来のメソッド』(KADOKAWA)より、実際のエピソードとともに肝臓をいたわる食事法を解説します。
脂肪肝を改善する食生活のすすめ!「糖質オフ」に慣れたあとは…タンパク質の“神セブン”で痩せやすい食事を【専門医が解説】
お腹がすいてから食事をするのが理想
このあとの1ヵ月のためにも、不安はこの場で解消しておこうと思えた。
「先生、主食の量の少なさには何となく慣れたのですが、食後2~3時間でお腹がすくことが多くて。その時間にやることがないと、結構つらいなと思いました。つい、何か食べたいという欲求が大きくなって……」
「その代わり、さぞかし食事がおいしかったでしょう」
と、先生は私を見た。
「そう言われると……そうかもしれないです。あと早く何か食べたくて、夕食の時間が少し早くなりましたね」
「それは、素敵なことなんですよ。朝は空腹で目が覚め、昼は食前にお腹が鳴る。夕飯は待ちきれなくて早めに食べるというリズムが自然に起こるよう、腹八分目の量で食事をする。これは、とても理想的です。その合間でジュースや甘いお菓子を口にしてしまえば、肝臓の脂肪がエネルギーに変えられる貴重な時間が、また脂肪増産タイムになってしまいますからね」
ドキッとした。何度、お菓子を買いにコンビニに走りそうになったことか。
「空腹は脂肪が減る大事な時間と肝に銘じて、我慢することにします」
「始業のチャイム音のように、空腹の鐘の音を聞いて次の食事になればいいですね。ただ、どうしてもお腹がすくときは、ナッツ類やゆで卵の間食を。糖質が少なく、不足しがちな栄養素を補給できるのでおすすめです」
そして、間食について詳しく教えてくれた。
ナッツの種類は問わないが、いくらでも食べていいというわけではないとのこと。小袋入りなら1袋分、大袋のものなら手のひらに軽くのる程度の量で25gぐらいまでに。大袋にそのまま手を伸ばすと食べた量がわからなくなるので、最初に小皿に取り分けておくのがよいそうだ。ゆで卵なら1個だそう。
「卵って1日1個までにしないとコレステロールが増えると聞きますが、ゆで卵を食べたら、ほかの食事で卵を食べないほうがいいですよね?」
「それは少し古い情報です。重篤な脂質異常症の方でなければ、卵の摂取量に制限はありません。コレステロールは8割が肝臓で作られていて、食事からの影響は2割ほどなんです。卵を食べても、血中コレステロール値にはほとんど影響しないことがわかっています。そのため、厚生労働省による『日本人の食事摂取基準』においても、2015年以降はコレステロールの摂取目標量の上限は撤廃されています。ただ、スマート外来では、卵は1日2個までを推奨しています」
「そうなんですか。知らなかったです」
「では、空腹タイムを存分に満喫してくださいね」
O先生の指導によって、私の健康常識はどんどんアップデートされていく。
<先生からの処方箋>
空腹は最高の調味料。いつもの食事が三つ星になる。