単身者が抱く老後への不安を解消「自立型(健康型)老人ホーム」という選択肢
――60歳過ぎたら老人ホームに入ろうと思って
出演する番組で、そう公言しているお笑いタレントのいとうあさこさん。
老人ホームといえば、介護や医療が必要になった際に入居を検討する住まいというイメージが強いですが、最近は、早いうちに老人ホームに入ることを望む人が増えているといいます。
その動機としては、「①1人暮らしへの不安・寂しさ」「②家族への負担減」「③家事が億劫」「④現在の住環境が老後を見据えると合わない」「⑤介護を必要になっ他場合でも安心」などが挙げられます。
特に昨今は生涯未婚率が増加。内閣府『令和4年版 少子化社会対策白書』によると、2020年、50歳になった時点で一度も結婚をしたことがない人の割合は、男性28.3%、女性17.8%。もちろん、このあとに結婚に至る人もいますが、多くが未婚を通すことから、生涯独身を貫く人の近似値といえるでしょう。
健康なうちは特に不安や寂しさもないかもしれませんが、仕事を完全にやめて年金生活に入ると、社会からの関係が薄くなり孤立するケースも単身者には多くみられます。また年を重ねれば体の自由はきかなくなり、人の助けが必要になるでしょう。単身者の場合、身近に家族がいないケースが多く、老いへの不安感は増していきます。そんな単身者の老後不安の解決法として、「老人ホームへの入居」が注目されているわけです。
老人ホームへの入居の際に考えなければならないのは、何よりもお金のこと。健康なうちに入れる老人ホームとしては、最初に候補に挙がるのが「自立型(健康型)有料老人ホーム」。介護施設ではなく、あくまでも健康な高齢者のための施設であり、もし入居後に介護が必要になったら退去しなければなりません。ただ介護棟を併設していたり、すぐ隣に提携する医療機関がある施設もあり、このような施設を選べば、長い目でみても安心です。
その費用は、ほかの老人ホームより割高で、入居一時金は0~数千万円、明らかに富裕層だけをターゲットにした施設であれば数億円というところも。また月額費用は10~40万円程度というのが相場です。
ただ高いのは高いなりの理由があり、居室やダイニングのほか、施設によってはカラオケやジムなどの娯楽施設、図書館などの文化施設など、共有施設が充実。さらにレクリエーションやイベントなども多く、新たな出会いや生きがいが生まれることも。老後を楽しく、活発に過ごしたいと考える人には最適な選択肢といえそうです。