60歳を定年とする企業が多数派ではありますが、定年後も働く選択をする人が増えています。そこには「年金受給額を増やす」という思いも。毎年送られてくる「ねんきん定期便」では増えていく年金額が確認でき、引退後の生活をイメージするのに役に立ちますが、そこにも落とし穴が……みていきましょう。
年金手取り月15万円、65歳まで正社員で頑張ったサラリーマン…年金増額にウキウキも、翌年の税金額に愕然「うそっ、税金が高過ぎる!」

60歳で「正社員→非正規」が多数派も、正社員のまま頑張る人も

総務省『労働力調査(基本集計)2023年平均結果』によると、822万人いる「55~59歳」に対し、就業者は683万人、そのうち正社員(正規の職員・従業員)は383万人、非正規社員(非正規の職員・従業員)は195万人です。そして多くが60歳で定年を迎えた後は……749万人いる「60~64歳」に対し、就業者は554万人、そのうち正社員(正規の職員・従業員)は188万人、非正規社員(非正規の職員・従業員)は257万人と、「正社員<非正規社員」と逆転します。

 

さらに737万人いる「65~69歳」に対し、就業者は383万人、そのうち正社員は68万人、非正規社員は206万人、891万人いる「70~74歳」に対し、就業者は303万人、そのうち正社員は37万人、非正規社員は144万人、740万人いる「75~79歳」に対し、就業者は148万人、そのうち正社員は14万人、非正規社員は52万人です。やはり「60歳の定年」は、日本人の働き方が変わる、大きな転換点といえるでしょう。

 

現在、定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、「①65歳までの定年の引上げ」「②65歳までの継続雇用制度の導入」「③定年の廃止」のいずれかの措置を実施しなければなりません。そこで多く取られているのが②で、60歳の定年で一旦定年退職、希望により契約社員や嘱託社員で再雇用契約を結ぶ、というスタイルが一般化しています。「これまで頑張ってきたのだから、定年後は自分のペースで働きたい」と、非正規での働き方を望む人が多いようです。

 

そんななか、60歳を超えてもバリバリと働きたい!と、正社員を選択する人も。その動機はやはり給与。厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、「55~59歳」の正社員男性の平均給与は月収で50.6万円、年収で868.8万円、「60~64歳」で月収40.9万円、年収で671.6万円。それに対し、「55~59歳」の非正規男性の平均給与は月収で22.1万円、年収で351.2万円、「60~64歳」で月収28.3万円、年収で428.0万円。60歳定年後も正社員であれば、給与の減少は2割程度に抑えることができますが、正社員から非正規社員になると、給与は半分程度にダウン。この給与減を嫌い、「60歳以降も正社員になって頑張る!」という人が結構いるわけです。