年収が高く、携帯料金等の延滞なし、カードローンなどの借り入れもなし……。住宅ローン審査になんの問題もないように思えても、思わぬ原因で審査に落ちるケースがあるといいます。一体どんな理由でしょうか? 本記事では、Aさんの事例とともに住宅ローン審査を通過するために注意すべきポイントについて、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
不動産業者「誠に申し上げにくいのですが、融資できません」…世帯年収1,700万円の30代共働き夫婦、住宅ローン審査“謝絶”の真相に愕然…原因は学生時代の〈ある決断〉【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

本審査で落ちることも

事前審査に通過した場合のみ本審査に進むことができます。本審査に進む前に、正式な住宅ローンの申し込みを行って、事前審査で用意した書類に加えて本審査に必要な書類(印鑑証明や勤務証明など)の追加準備が必要になります。

 

住宅ローンの本審査に通過すると、正式な契約へと進みますが、事前審査に通ったからといって、必ずしも本審査も通るとは限りません。

 

また、金利上昇局面に入ってしまうと、たった1日で返済比率が変わってしまったり、数週間で借り入れ条件が変わってしまったりすることもありますので、注意が必要です。

どのようなケースで審査に落ちるのか?

金融機関から融資を受けるためには、一定の条件を満たしている必要がありますが、事前審査や本審査で落ちてしまうことも当然あります。

 

審査に落ちてしまう代表的なケースをまとめてみました。

 

1.勤続年数が短い

勤続年数が2年以下(3年以下という金融機関も)となると難しくなります。転職する人が増えている時代ですから、転職後まもなく住まいを取得したい人は注意しましょう。

 

ただし、年収や自己資金が十分あり、

 

・転職により年収がアップした
・前の勤め先でのキャリアを生かした転職
・技術やスキルがある

 

といったような転職はアピールできるかもしれません。しっかり返済が続けられる人間だということをわかってもらいましょう。

 

2.勤務先の業績が悪い

金融機関は勤務先の経営状態も重要視します。万が一、勤務先が倒産ともなれば、当然住宅ローンの返済に問題が起きてしまうからです。

 

自営業者も3年分の確定申告の状況を審査でチェックされますが、業績が悪ければ審査に落ちてしまいます。

 

3.マネープランに問題がある

同じ年収や同じ年齢の人でも家族構成や家計の状況によって審査結果は変わってきます。たとえば、扶養家族が多かったり、介護が必要な高齢者を抱えていたりとなると難しくなります。

 

また、年収に対して借入希望額が多かったり、ほかにもすでに自動車ローンやカードローンなどの借り入れがあったりと、信用に問題がある場合や総借入金額が一定レベルを超えてしまう場合は厳しくなります。

 

4.健康面に不安がある

住宅ローンを借りる場合、団体信用生命保険(団信)への加入が求められます。この保険への契約の際に、健康面の問題が発覚して融資が取りやめになったケースもあります。