日本国内に居住している20歳以上60歳未満であれば、払わないといけない「国民年金保険料」。その額、月1万6,250円。しかし、誰もが払えるわけではなく、特に給与収入のない学生にはかなりの負担。そこで親に頼るのは、よくないことなのでしょうか? みていきましょう。
仕送り月6万円では「国民年金保険料」が払えません…親に頼るのは甘えですか?【20歳学生の悲鳴】

国民年金保険料「子どもが払う」よりも「親が払う」で得られる節税メリット

学生に進められている「学生納付特例制度」。しかし、保険料の納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合は、経過期間に応じた加算額が上乗せされます。大きな金額ではありませんが、少々、損をした気分になるかも。

 

そもそも、大学を卒業して日は浅く、まだ給与も低い時。大卒・20代前半で平均月収23.5万円、20代後半で27.3万円。手取りにすると、それぞれ18万円、21万円ほど。1人暮らしなら、そこから家賃や生活費を払い、残ったお金で追納まで行う……かなりの難題です。

 

――学生に国民年金保険料を払うのは大変ですよね。あとで払ってくれればいいですよ

 

という学生納付特例制度。しかし社会人になったからといって、誰もが追納ができるわけではありません。そこで、頼れるなら頼ったほうがいい「親の力」。つまり学生の間は親に払ってもらう、というものです。親が子どもの保険料を払うなら追納の必要もありません。

 

――親を頼るなんて、甘えではないでしょうか……

 

そんな心配をする必要はありません。親にとっては節税のメリットも期待できます。年金保険料は所得税や住民税における「社会保険料控除」として100%控除されます。仮に学生本人の所得が年間100万円、親の所得が年間600万円だとしましょう。

 

子どもが自分で国民年金保険料を払った場合:19万5,000円×15%(所得税5%+住民税10%)=2万9,250円

親が子どもの国民年金保険料を払った場合:19万5,000円×30%(所得税20%+住民税10%)=5万8,500円

 

これだけの差がつみます。子どもは保険料を払わなくてもいいし、親は税金が減るし、一石二鳥というわけです。

 

子どもの国民年金保険料を親が払う際の注意点としては2つ。まず社会保険料控除を受けるためには、口座やクレジットカードの名義人は親のものにすること。また控除を受けるなら「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が必須なので、きちんと受け取ること。例年10月以降に日本年金機構から送られてきます。

 

学生のうちは払うことが難しい国民年金保険料。払えないからと放置することだけは避け、学生の間は親に払ってもらう、親が頼れないなら学生納付特例制度を利用する、の二択だと心得ておきましょう。

 

[参考資料]

日本年金機構『国民年金保険料』

国民年金機構『国民年金保険料の学生納付特例制度』

全国大学生活協同組合連合会『第58回学生生活実態調査』