日本の公的年金制度。細かな決まりごとが多く、知っていると知らないでは、大きな差となることも珍しくはありません。今回は「年金の繰上げ受給/繰下げ受給」について、実際に制度を利用している人はどれくらいなのか、みていきましょう。
厚生年金、何歳から受け取ればいいですか?厚生年金受給者「2,800万人」の実態

厚生年金平均受取額「男性で16万7,388円」…繰上げ・繰下げするとどうなる?

会社員や公務員の老後を支える年金。国民年金に加えて、厚生年金が上乗せされて支給されますが、最大の関心ごとは「どれくらいもらえるのか」と「いつからもらうか」の2つ。

 

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の老齢年金受給者の平均年金月額は5万6,428円。厚生年金保険(第1号)の老齢給付の受給者の平均年金月額は、併給の老齢基礎年金を含めて老齢年金が14万4,982円で、65歳以上の受給権者の平均年金月額は、男性が16万7,388円、女性が10万9,165円。

 

平均的な会社員や公務員なら月16万7,388円。これは額面で、年金収入は雑所得で課税対象。さらに保険料なども払うと、手取りは額面の85~90%になり、14.2万~15.0万円になる計算です。これに対して、高齢者ひとりの生活費は、月14万円ほどなので、年金だけでカバーできるかどうか、ボーダーラインといったところでしょうか。

 

年金は原則65歳から支給。ただ希望すれば60~65歳になるまでに繰り上げて受け取ることができたり、反対に66~75歳まで繰り下げて受け取ることができます。それぞれ「年金の繰上げ受給」「年金の繰下げ受給」いわれる制度で、前者は1ヵ月繰り上げるごとに0.4%、年金が減額、後者は1ヵ月繰り下げるごとに0.7%、年金が増額になります。

 

65歳から受け取る年金が月16.7万円だったとしたら、これらの制度を利用することで受取額はどうなるのでしょうか。

 

【繰上げ受給の場合】

1年繰り上げて64歳から受け取る…4.8%減の15万8,984円

2年繰り上げて63歳から受け取る…9.6%減の15万0,968円

3年繰り上げて62歳から受け取る…14.4%減の14万2,952円

4年繰り上げて61歳から受け取る…19.2%減の13万4,936円

5年繰り上げて60歳から受け取る…24.0%減の12万6,920円

 

【繰下げ受給の場合】

1年繰り下げて66歳から受け取る…8.4%増の18万1,028円

2年繰り下げて67歳から受け取る…16.8%増の19万5,056円

3年繰り下げて68歳から受け取る…25.2%増の20万9,084円

4年繰り下げて69歳から受け取る…33.6%増の22万3,112円

5年繰り下げて70歳から受け取る…42.0%増の23万7,140円

6年繰り下げて71歳から受け取る…50.4%増の25万1,168円

7年繰り下げて72歳から受け取る…58.8%増の26万5,196円

8年繰り下げて73歳から受け取る…67.2%増の27万9,224円

9年繰り下げて74歳から受け取る…75.6%増の29万3,252円

10年繰り下げて75歳から受け取る…84.0%増の30万7,280円