日本の公的年金制度。細かな決まりごとが多く、知っていると知らないでは、大きな差となることも珍しくはありません。今回は年金の「遺族年金」について考えていきます。
子のいない夫婦の悲劇…年収1,000万円・45歳夫が急逝、悲しみに暮れる妻を追い詰める<夫の過去>【遺族年金がもらえない4つのケース】

遺族年金平均額…遺族基礎年金「月8万4,352円」、遺族厚生年金「月8万1,540円」

自分に万が一のことがあったら……そんな不安に駆られたことはありますか?

 

生命保険文化センター『2022年度 生活保障に関する調査』で「自分に万が一のことがあった場合、残される家族の生活に対してどの程度不安に感じるか」をたずねたところ、「不安を感じる」は62.9%にのぼりました。そして不安の理由のトップは「遺族年金との公的保障だけでは不十分」で44.1%。「遺族の日常生活資金が不足する」43.5%、「遺族の日常生活資金が不足する」36.7%とお金に関する不安が上位を占めます。

 

*非常に不安を感じる、不安を感じる、少し不安に感じるの合計

 

家族の生活を支えている人が亡くなった際に、残された家族の生活を支える公的保障が遺族年金。国民年金、または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった人が亡くなったときに、その人によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金です。

 

「生計を維持されている」というのは、原則①生計を同じくしている=同居していること。別居していても仕送りをしていたり、健康保険の扶養親族であったりすれば認められる) ②収入要件(前年の収入が850万円未満であること。または所得が655.5万円未満であること)を満たしていること という2つの要件を満たしている状態のことをいいます。

 

遺族年金には、国民年金に紐づく「遺族基礎年金」と、厚生年金に紐づく「遺族厚生年金」があり、亡くなった人の年金の加入状況や受け取る人の年齢、優先順位などの条件を満たしている場合、いずれか、またはその両方が支給されます。

 

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、遺族基礎年金の平均年金額は月8万4,352円、遺族厚生年金の平均年金額は月8万1,540円。これだけで残された家族が生活していくのに十分とはいえず、不安に駆られるのは仕方がない話。しかし生活の足しになることは確かです。