平均的な日本人にとって、マイホームはいつか叶えたい夢。多くは余裕のある返済プランでマイホームを叶えているものの、30年に及ぶローン返済のなかで、色々な危機に直面するでしょう。住宅ローン返済世帯が抱える難問についてみていきます。
月9.3万円の返済だが…46歳の子持ち夫婦、思わず言葉を失う「住宅ローンの利息額」

高齢者「働かないとローン返済なんてムリ!」という現実

返済負担率は、年収400万円超であれば35%が上限とされ、無理のないローン返済を考えるのであれば20%程度というのが一般的。60代で定年を迎えるまでは余裕のある返済プランであることがうかがえる一方で、定年後だと考えられる60~70代は収入が大きく減少し、ローン返済が重荷になっていることが伺えます。

 

実際は60代後半では月17万円程度、70代以降は月20万円程度の年金収入があり、これらも含めると返済負担率は19~21%程度。平均的な水準になります。つまり「働かないとローン返済ができない!」と、年金を受け取る年齢になりながら働き続けるのが、ローン返済負担の平均像だということ。万が一、体を壊すなどして働けなくなったら、一気に家計は破綻することは明らかです。

 

――そんなに「ローン返済」って過酷なの?

 

そう疑問に思う人もいるかもしれません。

 

国土交通『2022年度 住宅市場動向調査』で、住宅購入者の平均像をみていくと、たとえばマンション購入者(一次取得)の平均年齢(世帯主)は39.9歳、平均返済期間は29.7歳。単純に考えると、完済年齢は平均70歳となります。

 

働きながら、年金をもらい、住宅ローンを払う……決して珍しいことではないようです。

 

不動産価格上昇!購入者の平均像ではマイホームは叶えられない

さらにマイホーム購入を目指す人が直面しているのが「住宅価格の高騰」。「40歳でマンションを購入し、返済額は月々9万円程度、完済は70歳なんて平均像では、首都圏ではマンションなんて買えない!」と多くの人が思ったでしょう。

 

不動産経済研究所によると、昨年1年間に発売された新築マンション価格は、東京23区で1億1,483万円、東京都市部で5,427万円、神奈川県で6,069万円、千葉県で4,786万円、埼玉県で4,870万円でした

 

仮に月9万円、30年返済(元利均等返済)でローンを組んだとしたら、購入可能額の目安は3,728万円。1都3県では、到底、新築マンションを買うことはできません。

 

仮に頭金を1,000万円入れ、金利0.5%、返済期間は30年(元利均等返済)だとすると、千葉県の平均的な新築マンションを買うなら、月々の返済額は12万4,013万円。同じように、埼玉県の平均的なマンションであれば12万6,714万円、東京都市部の平均的なマンションであれば14万4,629円、神奈川県の平均的なマンションであれば16万5,278円。東京23区の平均的なマンションであれば33万9,407円。

 

65歳以降、年金をもらいながら働き、月12万~34万円の住宅ローンを返済する……そこまでしてマイホーム購入にこだわるか、疑問に感じるかもしれません。