介護で特に大きな負担となる「親の認知症」。自分の親は元気だし、認知症にはならないだろうと思っていませんか? しかしそれは、小さな異変を見逃しているだけかもしれません。本記事では、親が認知症にならないための予防策について、老人ホーム事業を営む株式会社ハピネスランズの代表であり老後資金アドバイザーの伊藤敬子氏が、チェックリストや具体的な予防方法とともに解説します。
年金月6万円、80代母の「大丈夫」を信じた悲惨な末路…〈ワンオペ介護〉の壮絶。回避する方法は? (※写真はイメージです/PIXTA)

コミュニケーションをどう充足するか

「認知症にだけはなりたくない」と多くの方がいいます。

 

それならば、ひとり暮らしで1番足りなくなる「コミュニケーション」を最も簡単に充足してくれるのは、デイサービスやレクリエーションの多い有料老人ホームに入ることだと、筆者は考えます。

 

老人は少しずつ積み重なる生活の変化のなかで、友人や親族が減っていきます。そもそも年長者なのに、知らないことだらけのチャレンジを若者に交じってやっていくことは簡単ではないのです。

 

ひとりの力には限界があります。老人会やボランティアには、介護士がいません。仲間に入って活動しやすいように人間関係を取り持ってくれたり、同世代のコミュニケーションを円滑にしてもらったりできるデイサービスや老人ホームのレクリエーションが重要になります。

 

認知症対策でコミュニケーションが重要なワケ

コミュニケーションが、なぜ認知症対策として有効かというと、簡単にいえば「頭を使う」からです。そのため、デイサービスに行く以外に、仕事をリタイアせずに働き続けている人のほうが、たくさん頭を使う分、老化しにくいようです。

 

1人でできる脳にいい活動

・日記を書く
・家計簿をつける/生協を注文する
・クロスワードパズルを解く
・本を読む
・散歩などの運動や筋トレをする

 

さらに、これらのことを複数人と一緒に行うと、気を使ったり、相手の言葉を理解しようとしたり、もっと脳を使います。

 

複数の人とする脳にいい活動

・音楽や芸術を楽しむ
・ゲームをする(麻雀、囲碁、将棋、トランプ、オセロなど。これも対人間のほうが効果が高い)
・ゲーム形式で運動する
・会話しながら散歩する

 

究極的にいえば、地方でまだ残る大家族のように、親子3世代・4世代・多世代同居することも解決策でしょう。

 

しかし現代ではそれも難しいので、近年では若者同居との多世代のシェアハウスなども少しずつ企画されています。そのようなところへの引越しを検討されるのも解決策かもしれません。

 

 

伊藤 敬子

株式会社ハピネスランズ 代表

老後資金アドバイザー