介護で特に大きな負担となる「親の認知症」。自分の親は元気だし、認知症にはならないだろうと思っていませんか? しかしそれは、小さな異変を見逃しているだけかもしれません。本記事では、親が認知症にならないための予防策について、老人ホーム事業を営む株式会社ハピネスランズの代表であり老後資金アドバイザーの伊藤敬子氏が、チェックリストや具体的な予防方法とともに解説します。
年金月6万円、80代母の「大丈夫」を信じた悲惨な末路…〈ワンオペ介護〉の壮絶。回避する方法は? (※写真はイメージです/PIXTA)

親の認知症は防げるか?

現代においてワンオペ介護になる可能性は、ひと昔前と比較し、高まっているでしょう。では、ワンオペ介護という状態に陥らないために、そもそも親が認知症を発症しないように、子供の立場からはなにができるのでしょうか? 

 

それは、親の生活を意図的に忙しく活動的にすることです。認知症予防には、

 

1.栄養

 

2.運動

 

3.コミュニケーション

 

が重要です。欧米では認知症患者が減ったのに、日本では認知症患者が増えているという事実をご存じでしょうか? 少し古いデータになりますが、2013年の国際的学術誌『Lancet』に、イギリスの75歳以上の高齢者に占める認知症の割合が、過去20年間で減少したというデータが発表されました。2016年の認知症対策・国際アルツフォーラムでは、米国のマサチューセッツ州で実施されている研究から、過去40年間にわたり、認知症の新規患者が減少していたと発表されました。

 

なぜなのでしょうか? 筆者は、日本人には「コミュニケーション」が圧倒的に足りていないため、と考えています。

 

現代日本の介護のプロである筆者にとって、人生で年金をもらい始めることができる60代~70代はもはや高齢者とはいえません。若者のように元気な人たちも多くいます。むしろ60代~70代は介護される側ではなく、日本の介護業界を支える側であるといっても過言ではないでしょう。

 

労働から解放され、お金と時間を両方手に入れた世代は自分の趣味に熱中したり、仲間を作ったり、旅行したり若者とさして変わらぬ生活ができます。怖いのは、そのあとの80代~90代にかけての期間です。

認知症予備軍チェックリスト:1問1点/10点

・病院などの予定を忘れてしまう。
・新しいことにチャレンジするのが苦手になってきた。
・料理が面倒になった。
・買い置きなどの物が増えた(同じものをため込む)。
・部屋が汚くなってきた。
・お風呂に入るのも節約なのか、面倒なのか毎日でなくなった。
・友達が減ってきた(親族や友人の死別も含む)。
・ゴミが分別できなくなってきた。
・飲む薬が1日5錠以上ある。
・テレビを爆音で観てしまう。

 

あなたの親御さんは何点でしょう? このなかで3点以上のチェックが入ったら要注意です。

 

これが、ひとり暮らしや老夫婦2人暮らしがもう困難なほど「老化している=認知機能が低下している」サインといえます。では、親の認知症はどのように防げばいいのでしょうか? そもそも防ぐことは可能なのでしょうか?

 

回答としては、「ある程度の努力で防げる!」というのが筆者の考えです。筆者が考える「ある程度の努力」とは、親の生活を刺激的にスケジューリングすることです。

 

ただ、子供だけで親の生活を刺激的にするのは、非常に大きな苦労を伴うというのも事実です。

 

認知症とはいくつかの脳の病状の総称で、病名ではありません。いわば誰にでも起こり得る「老化」です。誰でもなることができる自然な現象なのです。怖いのは本人には病識がないので、周囲が苦しむということです。親が認知症になって困るのは、本人ではなく子供たちであるといえるわけです。