春の訪れとともに、生まれ育った実家を出る……そんな人も増えてきますが、なかなか実家を出ることができない人は多いようです。「いい大人なんだから」と周囲の人に言われたとしてもなかなか踏み出すことのできない理由とは? みていきましょう。
実家を出たいが、無理ですね…手取り「月26万円」36歳サラリーマン、親にすがるしかない給与額【奨学金返済と国保追納の現実】

「奨学金の返還」「国保の追納」で人生が大きく変わる

―奨学金を返して、国保の滞納分を払ったら、こんな年になっていた

 

と男性。年収500万円では、1人暮らしをするのは厳しいといいます。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、30代後半、大卒サラリーマンの平均給与は月収で37.8万円、年収で637.0万円。年収500万円という男性は、残念ながら平均を大きく下回っています。もし男性が月収の3.4ヵ月分という平均的な賞与を手にしているとしたら、月収は33.5万円、手取りは月26.0万円ほどになる計算です。

 

ちなみに20代前半の平均月収は23.5万円、20代後半で27.3万円、30代前半で32.1万円、30代後半で37.8万円です。手取りにするとそれぞれ18万円、21万円、25万円、28万円といったところ。

 

大学に進学する際に奨学金を利用し、学生の間は国民年金保険料の猶予制度(学生納付特例制度)を利用。社会人になってからの対応で実家を離れることができなかったという男性ですが、実際にどれほどの負担なのでしょうか。

 

労働者福祉中央協議会『奨学金や教育費負担に関するアンケート』によると、奨学金の平均借入額は300万円強、月々の返済額は1.5万円ほど。平均返済期間は平均14.5年です。また国民年金保険料の学生納付特例制度を利用し、学生の間は保険料を猶予。社会人になってから追納したとしたら、月1.5万~1.6万円。

 

つまり奨学金の返済と国保の追納で、多い時は月々3万円強の負担になるということ。特に20代、月収が20万円前後のときは家計はかなり厳しく、実家暮らしができるなら実家を頼るほうがベストかもしれません。

 

男性の場合、「結婚に向けて、お金を貯めないと……」と、まだ実家を出る気はないといいます。前出の奨学金のアンケート調査によると「奨学金返済によって影響があった生活設計」として最も多かったのが「貯蓄」で65.6%。「仕事や就職先の選択」46.1%、「1人暮らしの決断」46.0%と続きます。またライフイベントでは、「結婚」に関しては37.5%、「出産」は31.1%、「子育て」32.8%、「持ち家取得」32.8%と、おおむね3割の人が「奨学金の返済が人生のライフイベントに影響があった」と回答しています。

 

30代後半にして、「結婚に向けての貯蓄」をスタートさせた男性。実家を出るまで、もう少し時間がかかりそうです。

 

[参考資料]

株式会社AlbaLink/「高く売る不動産」『実家を出るタイミングに関する意識調査』

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』

労働者福祉中央協議会『奨学金や教育費負担に関するアンケート』

日本年金機構『国民年金保険料の学生納付特例制度』