終わりの見えない物価高。暮らしに欠かせないものが大きく値上がりしているため、特に年金が頼りの高齢者への影響は多大なものでしょう。本記事ではAさんの事例とともに、そんな年金生活者をわずかながらサポートする制度について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。
同い年の夫逝去→年金が「月6万円」に減額、窮地の70歳妻…ある日届いた、年金機構からの「緑色の封筒」に救われたワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

さらなる追い打ち

Aさんが1人でお店をきりもりするのは大変です。経営状態的に新しい人を雇う余裕はありません。しかし、いままで2人でやってきたことを1人ですべて賄うのには限度があります。さらに物価高により、材料費等が嵩んで経営を圧迫していきます。

 

そのような折、無理がたたってか、腰痛が酷くなり、Aさんは仕事が思うようにできなくなりました。

 

夫と一緒に少しずつ貯めた貯金がどんどん減っていく通帳を見ながら、やりがいも収入も奪われて、いったい今後どう生きていけばいいのか……。Aさんは途方に暮れます。

 

今回ばかりは、Aさんの落ち込みは相当なものです。精神的にも気丈だったAさんでしたが、腰痛が長引き、厨房に立つことができなくなりました。しばらくお店を休んで治療とこれからのことについて考えることにしました。ひとり静かに過ごす日常は、とても寂しく辛いことです。亡き夫を思い出し、気が付くと涙が溢れてしまいます。

 

自宅ポストに届いた「緑色の封筒」

そんなある日、自宅ポストに「緑色の封筒」が届きました。

 

「なにかしら?」差出人は日本年金機構。すでに年金は受け取っているのにと、封を開けてみると「年金生活者支援給付金請求書」が入っていました。Aさんは中身を読んでも内容がよくわからなかったので、近くの年金事務所を訪れ、説明を聞いてみることにします。

 

職員からの説明によると、65歳以上で年金を受給している人で、下記の支給要件をすべて満たしている方が「年金生活者支援給付金」の支給対象とのことでした。

 

(1)65歳以上の老齢基礎年金の受給者
(2)同一世帯の全員が市町村民税非課税
(3)前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が878,900円以下

 

ただし、上記の要件に、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。なお、77万8,900円を超え87万8,900円以下である人は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます(2023年度額)。

 

年金生活者支援給付金は、消費税が10%にあがったことを機に始まった年金受給者の生活を支援するための制度です。

 

Aさんは、収入が低下したことにより、新たに年金生活者支援給付金の支給対象となったため、届いたようです。