昨年75歳以上の人口が2,000万人を超えるなど、超高齢社会を突き進む日本。国民のほとんどが介護する側・される側のどちらかになる“1億総介護時代”になる日もそう遠くありません。こうしたなか、なくてはならない職業が「介護福祉士」です。しかし、その給与額が実情に見合っていないと、医師の秋谷進氏は警鐘を鳴らします。今回は、介護福祉士の給与が上がらない理由とその背景についてみていきましょう。
国民の10人に1人が80歳以上…需要増える「介護福祉士」の“思わず目を疑う”給与額【医師が警鐘】 (※写真はイメージです/PIXTA)

介護福祉士の給料が上がらない「2つ」の理由

介護福祉士の給料が低い理由はいくつか考えられますが、主なものは下記の2つです。

 

1.医療や福祉自体が「給料が上がりにくい」産業だから

まず大前提として、医療・福祉業界が「給料が上がりにくい」産業です。

 

国税庁の「民間給与実態統計調査」をもう少し詳しくみてみましょう。同資料では業種別の平均給与も記載されていますが、医療福祉業界全体でも平均給与は409万円と、労働者全体の平均給与458万円より低い値となっています。

 

ちなみに、一番高い産業は「電気・ガス・熱供給・水道業」で747万円です。なんと、300万円以上もの差があります。

 

介護保険に「支給限度額」があるから

医療における保険と同様、介護にも「介護保険」といい、介護サービスを受けるために国から補助を受けられる制度が存在します。

 

しかし、実は、この介護保険は「どれくらいの介護が必要か」によって支給限度額がそれぞれ下記のように定められているのです。

 

●要支援1……50,320円

●要支援2……10万5,310円

 

●要介護1……16万7,650円

●要介護2……19万7,050円

●要介護3……20万7,480円

●要介護4……30万9,380円

●要介護5……36万2,170円

 

要支援は自分の身の回りのことはひととおりできて、軽度の支援が必要なレベルですが、要介護5になるとほとんど寝たきりで、食事や排せつなど生活にかかわるほぼすべての動作に介護が必要な状態です。

 

もちろん、限度額を超えてサービスを享受することも可能ですが、料金が高額であることから、基本的にはこの限度額に収まるように介護サービスを選ぶ場合がほとんどでしょう。

 

つまり、介護事業ではだいたいの「収入の上限」が見えている、というわけです。

 

もちろん被介護者が増えれば増えるほど企業としては収入が増えるわけですが、介護が必要な人が増えればそれだけ職員も必要になりますから、当然人件費も増えます。

 

介護は体力仕事であることも多く、人の命や生活がかかっていますから、1人で大勢をみるというわけにはいきません。となると、1人あたりの給料がなかなか上がらないという事態になってしまいます。