万引き犯…3人に1人は「65歳以上の高齢者」
スーパーの保安係が捕まえた万引き犯。事情を聞こうと事務所に連れていき、まずは未清算の商品を出すよう促すと、ポケットやバッグの中から次から次へと出てくる、出てくる……なかには高級牛の代表格、松坂牛のサーロインも。容疑者は「もうしません」と号泣し、「警察には通報しないで」と懇願。
また別の日、万引き犯のポケットから出てきたのは100円の菓子パン、1個。別人でも反応はほぼ同じ。「もうしません」と号泣し、「警察には通報しないで」と懇願。
松坂牛であろうと、菓子パンであろうと、万引きは立派な犯罪。決して許されるものではありません。万引き犯は、どちらも年金で生活する高齢者。心から反省しているようにみえるものの、2人とも再犯だったといいます。
警察庁『犯罪統計書 令和4年の犯罪』によると、2022年、万引きの被疑者は5万7,804人。そのうち65歳以上の高齢者は2万0,844人。万引き犯、3人に1人は高齢者です。
【年齢別「万引き犯」被疑者数】
20歳未満…3,592人(6.2%)
20~24歳…3,573人(6.2%)
25~29歳…3,537人(6.1%)
30~39歳…6,345人(11.0%)
40~49歳…7,810人(13.5%)
50~59歳…8,425人(14.6%)
60~64歳…3,678人(6.4%)
65~69歳…3,661人(6.3%)
70歳以上…17,183人(29.7%)
また警察庁『令和4年の刑法犯に関する統計資料』によると、検挙した万引き事件の被害品数は6万5,957点。年齢別にみていくと、「60~69歳」は8,200点、そのうち食料品は4,971点で全体の60.6%。「70~79歳」は1万1,583点、そのうち食料品は4,971点で全体の67.3%。「80歳以上」は7,360点、そのうち食料品は5,305点で全体の72.0%を占めています。
ほかの年齢で被害品数における食料品の割合をみていくと、未成年では39.0%、20代では33.7%、30代では37.4%、40代では43.9%、50代では49.9%。年齢が上がるにつれて食料品の割合は増えていきますが、やはり高齢者による食料品の万引きが突出しています。犯罪に手を染めてしまう背景はさまざまですが、食べ物が買えないほど困窮している……生活苦が高齢者を犯罪へと駆り立てているひとつの要因であることは明確です。