新築マンション価格は変動が激しく、1980年代~1990年ごろまではバブル景気で大きく上がり、バブル崩壊後に急落、低迷し、2000年代後半からまた上がりました。特に首都圏ではアベノミクス以降再び大きく上がっています。そして今回東京23区では、年間平均価格が初の1億円超えです。本記事では、住まいの値上がりと密接に関わる住宅ローンの長期化リスクについて、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
東京23区新築マンション価格“1億円超え”!庶民「ますます手が届かない…」→人生の半分以上が〈ローン地獄〉の恐怖【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

借入期間が長くなると総返済額が増える

2020年度 住宅ローン貸出動向調査によると、25年を超えるローン期間の貸し出しの割合は、2016年度には53.7%だったのに対し、わずか3年後の2019年度には68.4%に増えています。

 

住宅金融支援機構「2020年度 住宅ローン貸出動向調査」より筆者作成
[図表1]住宅ローン期間 2016年度と2019年度の比較 住宅金融支援機構「2020年度 住宅ローン貸出動向調査」より筆者作成

 

借入期間が長くなればなるほど、当然ながら支払利息が増えて総返済額は大きくなっていきます。たとえば、借入金額4,000万円、返済期間35年と50年とで比較してみましょう。
 

・返済期間35年の場合 毎月の返済額:11万2,194円 総返済額:4,742万円 

・返済期間50年の場合 毎月の返済額: 8万4,744円 総返済額:5,084万円

金利1.0%・ボーナス返済なしで計算しています。

 

しかし、この試算は金利が一定で続くことが前提での計算です。変動金利型や固定期間選択型のローンでは、途中で金利が変わっていきますので、注意が必要です。

 

なお、下記は住宅金融支援機構の全期間固定型住宅ローンの比較ですが、固定金利の場合は借入期間が長くなると金利も上がってくるのが特徴です。同じく借入金額4,000万円で資産しています。

 

出所:※	2014年1月の最頻金利で算出
[図表2]全期間固定型住宅ローンの比較 出所:※ 2024年1月の最頻金利で算出

 

50年ローンにもなると、30年経過しても借入金額4,000万円の半分も返せない計算になります。

 

住宅ローンが長期化すると、老後の生活にも負担がかかってきます。定年退職時に住宅ローンがいくら残っているかを把握してローンを計画することも重要です。定年退職後はどうしても収入が減るため、いつでもまとめて返せる金額であることを考慮して借入金額や借入期間を決定していきましょう。
 

<参考>

独立行政法人・住宅金融支援機構:住宅ローン貸出動向調査

2022年度

2020年度

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表