保険会社に勤める39歳の会社員Aさん。年収は1,200万円で、妻も働いていることから、所得は十分です。好きなものに出費を惜しまない生活を続けていたA家でしたが、「妻の豹変」により家計は火の車に……。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPは、相談に訪れたAさんにどのような助言を行ったのでしょうか、みていきます。
「子どものためよ。わかってくれるよね?」年下妻の“豹変”にうろたえる夫…年収1,200万円、39歳エリートサラリーマンの悲劇【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

Bさんが文京区に引っ越したがったワケ

文京区には、東京大学をはじめ数々の名門大学が点在するほか、私立の中高一貫校も多数存在。教育施設が集まる「文教地区」に指定されています。

 

文京区で学ぶ子どものクラスの2人に1人は私立中学校に進学するといわれ、「教育熱心な街」として知られています。

 

そのためか、少子高齢化の日本において、文京区の14歳以下の人口は10年前(平成26年)は2万3,046名だったところが、現在では2万9,475名に増加しています(令和6年1月1日現在)。

※ 出所:文京区「文京区人口統計資料(令和3年以前)」
 

Bさんのように教育熱心な親が「子どものために」と文京区へ移り住んでいるのかもしれません。

 

また文京区に限らず、都内では中学受験者が増加しています。中学受験版受験マニアックス「東京23区私国立中入試概況」をみると、2023年2月末時点での中学受験の応募総数は、私立、国立、公立一貫校の合計で16万8,400名あまりと、前年2022年の約15万8,300 名から約1万人増加していることがわかります。

※ 出所:中学受験版受験マニアックス「東京23区私国立中入試概況」
 

私立中の学費は5年間で約5%増加

とはいえ、文京区にかかわらず、東京都内の私立中学校にかかる学費は増加しています。

 

令和6年度、都内にある私立中学校の授業料・入学金・施設費・その他費用を合計した「初年度納付金(総額)」平均額は100万9,362円となっていますが、令和元年度の平均額は95万9,770円と、5年間で約5%増加しています。

※ 出所:東京都「令和6年度都内私立中学校の学費の状況について」
 

わが子の将来のために環境を整えようと文京区に住むことは、選択肢のひとつとして有効かもしれません。しかし、郊外や地方と比べて生活費は高くなるほか、A家の場合、すでに習い事や学習塾などで年間150万円ほどかかっています。

 

これから中学受験を経て私立中学校に通うとなると、さらに年間100~150万円ほどの費用がかかるでしょう。このままでは、最悪「家計破綻」の未来すらありえます。Aさんはどうすればいいのでしょうか。