保険会社に勤める39歳の会社員Aさん。年収は1,200万円で、妻も働いていることから、所得は十分です。好きなものに出費を惜しまない生活を続けていたA家でしたが、「妻の豹変」により家計は火の車に……。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPは、相談に訪れたAさんにどのような助言を行ったのでしょうか、みていきます。
「子どものためよ。わかってくれるよね?」年下妻の“豹変”にうろたえる夫…年収1,200万円、39歳エリートサラリーマンの悲劇【FPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

FPが提案した3つの改善策

相談を受けた筆者は、Aさんに次の3つの方法を試すよう提案しました。

 

1.家計の見直し

まずAさんにすすめたのは、家計の見直しです。具体的には「保険」と「自動車」の2つでした。

 

Aさんは保険会社に勤めていることもあり、収入もあることから手厚い保険に加入しています。仕事上の付き合いで加入した保険もあったため、当初は「気まずいな……」と解約に抵抗があるようでしたが、メリット・デメリットを比較検討したうえで必要最低限にまとめます。

 

また自動車については、「あると便利だが、文京区に引越してからは利用する機会が減った」と言っていたことから、手放すことを検討してもらいました。車検代や保険料など維持費もかかるため、利用したいときはレンタカーやカーシェアに切り替えることで、固定費を減らすことができます。

 

さらに、家賃や公共料金、普段の買い物についても支払い方法をクレジットカードに統一し、ポイントを貯めると家計負担が減ります。仮に年間400万円をクレジットカードで支払うと、2%のポイントが貯まれば8万円分の買い物が可能になります。

 

2.習い事の取捨選択

子どもの将来を考えるとなるべくたくさん習い事をさせてあげたいところですが、現状家計が圧迫されているため、優先順位をつけて取捨選択する必要があるでしょう。

 

たとえば、奥様が専業主婦として自宅にいるのであれば、学習塾へ行く時間を減らしその分学習アプリを利用すれば、費用を抑えることができます。コロナ禍を経て、自宅にいながら勉強できるさまざまな学習アプリが普及していますから、検討する価値はあるでしょう。

 

3.妻に働いてもらう

子どもの習い事を減らしたくない場合、負担はありますが妻のBさんに復職してもらうのも選択肢のひとつです。子どもが小さい時期は、フルタイムで働くことは難しいかもしれません。しかし、様子を見ながら時間を増やすことができれば家計はかなり楽になります。

 

それが難しい場合には、老後の資金についてはいったん棚上げし、教育ローンを利用することで支出の先送りをすることも検討できます。

 

ひと通り説明したあと、Aさんは「ありがとうございます。妻に現状を伝えて、これからどうしていくのか話し合ってみます」とその日は帰られました。

 

「子どものために」はもちろん大切。しかし…まずは「家計の安定」から

Aさんは多忙を言い訳に、子育てについては妻のBさんに一任してしました。そのため、これまでBさんの意見を最大限に尊重してきたそうです。しかし、金銭的な問題を解決しない限り、このままでは家計が回らなくなってしまいます。

 

「子どものために」と将来の不安から目を背け続けた結果、家計が破綻してしまっては進学どころではありません。まずは「家計の安定」を最優先に、Aさんも積極的に意見を出しながらコミュニケーションをとり、A家に合った教育プランを模索することが大切です。

 

 

武田 拓也

株式会社FAMORE

代表取締役