新築一戸建て購入者…5,000万円の住宅ローンを35年で完済
一戸建てを実現する際のマネープランをみていくと、購入資金総額は平均4,713万円。そのうち借入金は平均3,771万円。ちょうど2割ほどの頭金を用意しています。月々の返済額は14万5,000円。年収に占めるローン返済額である返済負担率は16.4%。平均返済期間は土地は34.5年、建物は32.8年です。
返済負担率は最高で35%程度といわれていますが、これでは相当なローン負担。かなり生活はカツカツになります。20%前後が妥当といわれているので、多くの人が計画的な返済プランのうえ、新築一戸建ての購入に踏み切っていると考えられます。
世帯年収800万円。40歳になる前に、夢の新築マイホームを実現。そんな、まるで絵にかいたような幸せが目に浮かびますが、平均5,000万円弱の住宅ローン、一度も繰り上げ返済をせずに完済を目指したら……「ローン地獄から解放された!」というときには74歳に達しています。
――74歳
現役世代であれば、あまりに遠くの未来で、想像が付かないかもしれません。
内閣府『令和5年版高齢社会白書』によると、「70~74歳」の就業率は33.5%、「75歳以上」が11.0%。多くの人が現役を引退し年金生活を送っていると考えられますが、まだ3割の人は働いています。
一方で最新の健康寿命は男性で72.68歳、女性で81.41歳。健康寿命、すなわち日常的・継続的な医療・介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間のこと。つまりローンを払い終えるのは「病院と友だち」という年齢だということです。
そして74歳時点の平均余命は、男性で12.72歳、女性で16.49歳。ローンを払い終え、正真正銘、マイホームとなってから、10年強の時間しか残されてないということになります。
――持ち家か、賃貸か
たびたび議論が交わされ、答えの出ることのない難問ですが、最終的に「自分のもの」といえる持ち家はのほうが高い人気を誇っています。
ただ40歳手前で購入し、何もしなければ、年金が生活を支えるような年齢になってもローン返済に追われ、さらにローン完済から余命は数えられるほど……というのが平均像。晩婚化が進み、住宅購入年齢は上昇傾向にあり、ローン完済年齢も同様に上昇傾向にあります。今後、ますますローン完済後の余命は短くなるかもしれません。残された時間を前に「何のために買ったんだろう」と後悔することも。マイホームは大きな夢ではあるものの、いま一度、本当に買うべきか、検討してみてもいいかもしれません。
[参考資料]
株式会社AlbaLink『マイホーム購入のタイミングに関する意識調査』