2024年1月10日、世界最大の運用会社ブラックロックを含む複数の企業が申請していた「ビットコインの現物ETF」が、ついに承認されました。この一大イベントを通過したいま、投資家たちが狙う「次の暗号資産」とはいったいなんなのか、マネックス証券の暗号資産アナリスト松嶋真倫氏が解説します。
ビットコイン「現物ETF承認」で大盛況の市場だが…投資家が狙う「次の暗号資産」は【専門アナリストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

暗号資産相場は「アルトコインブーム」とともに盛り上がる

暗号資産市場は、ビットコインが依然として大きなシェアを占めていますが、これまでアルトコインのブームとともに相場の盛り上がりが起きています。暗号資産ポータルサイトのコインゲッコーでは1万種類を超える暗号資産がリストされており、その数は年々増え続けています。

 

はじめに暗号資産の発行が加速したのは2017年です。「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」と呼ばれる、暗号資産の新規発行による資金調達が企業の間で流行しました。

 

この時には、企業が暗号資産を活用した事業案をホワイトペーパーの形で公表し、投資家が新規発行される暗号資産の値上がりを期待して投資する動きが過熱しました。

 

これによってビットコインの価格が相乗的に上昇したのは良いですが、一部ではICOの仕組みを悪用した詐欺が横行し、規制当局から問題視されることになりました。

 

いまでも暗号資産の発行は株式と同様に企業が資金調達する手段として注目されており、その手法はICOの問題を解決する方向で多様化しています。

 

その代表的なものとして「イニシャル・エクスチェンジ・オファリング(IEO)」という、暗号資産取引所を介した暗号資産の新規発行による資金調達があります。これは取引所の厳正な審査を挟むことで詐欺や粗悪なプロジェクトを防止する手法です。日本でもいくつかのIEO事例が存在し、2024年もその件数は増えることが予想されます。

 

ほかにも「イニシャル・デックス・オファリング(IDO)」という分散型取引所を通じた資金調達や、「イニシャル・ノンファンジブルトークン・オファリング(INO)」というNFT販売による資金調達など、暗号資産市場ではさまざまな資金調達の手法が生まれています。また、プロジェクトが新規発行する暗号資産を既存のユーザーへ無償配布(エアドロップ)することもあります。

 

このように多様な形で新規発行される暗号資産が投資家のお金を呼び込み、暗号資産相場は今後も盛り上がりをみせていくでしょう。

 

2023年は、ビットコインのドミナンスが約2年ぶりに50%を超えるまで上昇しました。ドミナンスはビットコインとアルトコインの関係を読み取る指標として有効です。

 

2024年は暗号資産の強気相場が継続するなかで、投資家がより大きなボラティリティとリターンを求めてアルトコインへの投資を強める可能性があります。そのトレンドを見極めるためにも、日頃の情報収集の際には暗号資産の新規発行が増えているかどうかに注目すると良いでしょう。

 

 

松嶋 真倫

マネックス証券 マネックス・ユニバーシティ

暗号資産アナリスト