2024年1月10日、世界最大の運用会社ブラックロックを含む複数の企業が申請していた「ビットコインの現物ETF」が、ついに承認されました。この一大イベントを通過したいま、投資家たちが狙う「次の暗号資産」とはいったいなんなのか、マネックス証券の暗号資産アナリスト松嶋真倫氏が解説します。
ビットコイン「現物ETF承認」で大盛況の市場だが…投資家が狙う「次の暗号資産」は【専門アナリストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ビットコインの「次の資産」は?

「アルトコインの現物ETF」に期待高まる

2024年1月10日、ついに米国でビットコインの現物ETFが承認されました。翌日には10本あまりのETFで約46億ドル(約6,700億円)もの歴史的な初日取引高を記録し、ビットコインが金融市場における資産クラスのひとつとして認められていることを象徴する結果になりました。

 

これを受けて、ビットコインの価格は一時BTC=700万円台まで急騰しました。もっとも、ビットコインは昨年末にかけて期待先行で価格を大きく伸ばしてきたため、イベント通過後には調整売りが強まりました。

 

しかし、アルトコインについてはビットコイン建て(ex. ETH/BTC)の価格で見ると上昇している銘柄が多いことがわかります。一体なぜでしょうか。

 

それは、米国でビットコインの現物ETFが承認されたことにより、「アルトコインの現物ETFも近いうちに承認されるのでは」という思惑が広がっているからです。

 

その筆頭が、ビットコインに次いで時価総額の大きいイーサリアムでしょう。ブラックロックは2023年11月にイーサリアムについても同様の申請をSECに提出しており、その承認への期待から、イーサリアムは直近で大きく価格を伸ばしています。

 

将来的に個別のアルトコインもしくはそれらをまとめた指数に連動したETFが承認される可能性はあるでしょう。今回、ビットコイン投資信託のETF転換が承認されたグレースケールは、イーサリアムの他にもソラナやライトコインなど複数のアルトコイン投資信託を手がけており、それぞれビットコインに並んでETF転換を目指すことが予想されます。

 

しかし、米国でSECがアルトコインの現物ETFを認めるためには暗号資産の定義をより明確にする必要があるのも事実です。SECのゲンスラー委員長は、ビットコインはコモディティであるが、その他の暗号資産は有価証券であるという姿勢を崩しておらず、今回の承認は他の現物ETFを容認するものではないと念押ししています。

 

このように米国では、暗号資産をコモディティと有価証券で区別する枠組みが不足しているため、アルトコインの現物ETFが実現するまでにはもう少し時間がかかりそうです。

 

しかし、次に現物ETFが承認される銘柄はなにかという期待によって、イーサリアムを中心にアルトコインへの関心が今後ますます強まっていくでしょう。