大企業を中心に兼業を許可する勤務先が増え、副業を始めようとしている人も多いのではないのでしょうか。本記事ではAさん夫婦の事例とともに、収入が足りないと感じる際にまず最初に考えるべきことについて、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が解説します。
世帯年収990万円の30代・仲良し夫婦、収入減で「住宅ローン・月12万円」を支払えず…苦労を共にした妻が始めた「副業」に生来おおらかな夫、大激怒のワケ【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

夫が妻のアカウントに気づいてしまった

夫AさんはめったにSNSを見ない人でしたが、夫のアカウントと電話番号によって繋がってしまったのです。夫Aさんが見ると、そこには自分の陰口で盛り上がる姿と、謎にお色気を出した妻の写真が。

 

「これ、見ちゃったんだけど」夫は妻Bさんにそう問い詰めます。

 

「なんのためにこんなことをしているの?」妻Bさんは慌てて言い訳をします。副業のためだと力説するのですが、夫Aさんはこういいます。

 

「副業というならいくらか稼げているの」「まったく稼げていないよ……」と妻。

 

「それじゃあ、ただの嫌なアカウントだよね、これ。僕の悪口を言ってそんなに楽しい? 浮気しているとか嘘だよね。この浮気現場とかいう写真、一緒に食事に行ったときのやつじゃん……それと、たまに夜中にスマホをみてニヤニヤしているなとは思っていたけれど、ネットでこんな写真を出してオジサン達にチヤホヤされて喜んでいるなんて、いい年をしてどうかしているよ」。夫は冷静にこう続けます。

 

「収入が少ないと焦っているようだけど、世帯年収で考えたら決して貧乏ではないと思う。ファイナンシャルプランナーに2人で一度相談しようと考えていたところだった。僕は、支出を節約して貯金をしていけば、贅沢はできないけれどなんとかやっていけるはずだと思っているのだけれど」。そして妻Bさんの迷走した謎アカウントを閉鎖するよう伝えます。

 

Bさんはそのアカウントを伸ばしお金を得るために工夫したことを思い出して未練がありましたが、夫を不愉快にさせた以上は閉鎖もしかたないと受け入れました。副業というのは、そう簡単ではないようです。

最初にやるべきことは副業ではなく、家計の見直し

給料が増えない、手取りが下がっているということに焦るあまりに、副業やリスクの高い投資を始めようとする人は少なくありません。しかしその前に家計の収支を見直すことが最優先です。会社員である以上、年間の収入は決まっています。その枠のなかで生活をなんとかしなければなりません。

 

収入が減ったのならいままでの生活のなにかを捨てなければならないのは当然のことです。もちろん副業をして、年収を上げることでもっと豊かな生活を手に入れたいと思うのも当然のこと。しかし副業することが本業や健康、家族関係を脅かすようではまったくの無意味です。

 

もし本業に将来がないと思う、あるいは熱心になれないと思うのであれば転職したほうがいいはずです。本業に不満があるから副業をする、というだけでは、人生とお金に迷走するだけかもしれません。

 

 

長岡 理知

長岡FP事務所

代表