筆者が「外食」をすすめる合理的な理由

健康至上主義の人たちが考える「粗食」は単調になりがちです。肉や油の少ない食事を中心にしようとすると、食べられる食品が少なくなるので、献立のバリエーションに変化がなくなります。

「肉は体に悪いから食べない」とか、「天ぷらは油を使うから食べない」と消去法でばかりメニューを考えていると、朝はごはんにみそ汁、納豆、漬けもの。昼はそばかうどん。夜は焼き魚と野菜の煮物。といったメニューの繰り返しになってしまうような気がします。

これはどういうことかというと、食事のメニューにだんだん変化がなくなってくるということです。

しかも、大事なたんぱく質も足りていません。それが見た目年齢を老けさせる大きな要因であることは、これまで述べてきました。

ここから抜け出すには、健康至上主義をやめる。つまり粗食をやめて、肉なども積極的に摂ることが大事なわけですが、それでも自宅で食べる料理のバリエーションは、それほど広がるものではありません。肉をしっかり食べている家庭ですら、食卓に上るメニューは、何種類かの料理のローテーション、あるいは組み合わせの違いだけの変化になっているのが普通でしょう。

家庭で料理をつくるのが女性であれ男性であれ、プロの料理人ではないのですから、つくれる料理の種類は限られます。つまり栄養も偏ってくる可能性があるわけです。

老年医学の立場から言わせていただくと、年をとるほど多種類の食品から栄養を摂ったほうがよいと思います。そこで、おすすめしたいのが外食の活用です。

例えば、自宅で鶏肉を食べるとしたら、普段食べる部位はもも肉かむね肉、豚や牛も肉は食べても内臓までは食べません。

でもヤキトリ屋に行けば、鶏のあらゆる部位の肉が食べられますし、内臓も食べられます。焼き肉屋で食べられる各種内臓は、普通の人は入手が難しいので、店でしか食べられません。それに最近の焼き肉屋は豚肉もメニューにあるので、1つの店でいろんな種類の肉が食べられます。

ちなみに、牛や豚の内臓には、肌の材料にもなるコラーゲンがたっぷり含まれているので、見た目にもよいと思います。

魚も自宅で食べるとなれば、まぐろの刺身か干物を含む焼き魚くらいでしょう。でも寿司屋に行けば、普段口にすることのない、いろんな種類の魚介類が食べられます。

このように、多種類の食べものをちょっとずつ食べると、不足しがちな栄養素を補うことができるのです。

また、外食で普段食べないものを食べれば、自宅で料理をつくるときのヒントにもなります。つまり、外食に行くことで自宅の料理のバリエーションも増やせるのです。