「若い見た目」にこだわるのもOK、「いぶし銀のキャラ」に落ち着くのもOK。自己演出の極意とは? 『60代からの見た目の壁』(株式会社エクスナレッジ)の著者で医師の和田秀樹氏が解説します。
「若く見える=かっこいい」ではない…東大医学部卒の医師が教える“イケオジ”の極意
“老け顔を生かす”という選択もある
自分に似合っていれば、無理にして若く見せなくてもよいのです。
大事なのは、かっこよく見えるかどうかです。若く見えたほうがかっこよく見える人が、一般的には多数派というだけのことです。
たとえば、若いころから「老け顔」と呼ばれる人がいますが、職種によってはそのほうが都合よいこともあります。
私はその逆で、40歳ぐらいまで童顔でした。31歳から34歳まで、私はアメリカに留学していましたが、お酒を買いに酒屋に行っても、バーに入っても、必ずIDカード(身分証明書)を見せろといわれていました。そのくらい童顔だったのです。
さらに、精神科の医者は、若く見られると損なのです。他の科でもそうかもしれませんが、研修医のように思われて、患者さんからの信頼感がイマイチなのです。「学生さんですか?」と言われたこともありました。
40代くらいからは、そう思われることは少なくなってきましたが、実年齢よりも老けて見えるほうが得をすることもあります。
医者の場合、年齢よりも老けて見えたほうが、患者さんがベテランの医者だと思ってくれるからです。実際の年は1つ上ですが、私の同級生で、老け顔で得をした人がいます。彼は手先が器用で、手術が上手だったこともあり、後に大腸がんの分野では日本トップクラスの医者になっています。
その彼が学生の頃から、すごく老けて見えたのです。そこで、研修医時代はその老け顔を利用して、アルバイトに行っては、けっこうな金額のアルバイト代をもらっていました。当時の私は童顔でしたから、「老けて見えるのは得だな」と思ったものです。
そういうケースもあるので、見た目をかっこよく見せるやり方は、決して若く見せるだけではありません。大事なのは自分のキャラ(役割)に合っているかどうかでしょう。
実年齢がいくつかということにもよりますが、やや老けた感じに見せるとか、年寄りくさいイメージを利用するという方法もあってよいと思います。