「食物繊維」と「抗酸化物質」でがんを防ぐ

日本はがんで死ぬ人が一番多い国です。がんの予防で重要なのは免疫力。そこで肉を食べて、免疫細胞の材料になるコレステロールを補うのが日本人にとっては大事なのです。

もう1つ、免疫力を上げるために大事なのが野菜です。野菜には食物繊維が含まれていますが、腸内細菌のエサになる食物繊維(水溶性食物繊維)は腸内環境を整えて、免疫力を上げる働きがあるとされています。

免疫細胞の約70%は腸に集まっているといわれていて、腸内環境が整うと免疫細胞が活性化します。そこで、野菜の食物繊維を摂ることがすすめられているのです。

なお、食物繊維は野菜だけでなく、きのこ類や海藻類にも含まれています。これらを副菜として摂ることで免疫力が高まります。

野菜の中には、がんの予防に役立つもう1つの成分を含むものがあります。それがトマトやピーマンなどの濃い色の野菜に含まれる色素の成分です。

トマトの赤色やピーマンの緑色には、野菜を紫外線から守るための抗酸化物質が含まれています。

ヒトも過剰な紫外線を浴びるのはよくないとされていますが、それは紫外線によって皮膚などが酸化されるからです。紫外線による皮膚の酸化は、皮膚がんのリスクを高めるので、紫外線対策が必要なのです。

酸化は体の中でも起こっていて、細胞が酸化すると遺伝子が傷つけられ、前述したミスコピーが起こりやすくなって、がんのリスクが高まります。

これを防ぐために、ヒトの体には酸化を元に戻す(還元する)酵素などがつくられているのですが、年齢とともにその量は少なくなります。

これを補う成分で、抗酸化作用が強いといわれているのが、野菜に含まれる抗酸化物質です。よく野菜は体によいといわれますが、がんが多い日本人にとって、野菜を食べる意義はここにあるのです。

ただ、“健康至上主義者”は極端な方向に走りがちです。野菜ががんを予防するといわれると、肉を減らして野菜を中心にしてしまう人が多いのです。

肉に含まれるコレステロールも免疫を高めるのですから、まずはメインの食材である肉や魚をしっかり摂ることが重要です。野菜は副菜として摂れば十分なので、そのことを忘れないようにしてください。