(※画像はイメージです/PIXTA)

日本の生涯未婚率(50歳時未婚率)は、男性28.3%、女性17.8%と、1920年からの国税調査市場、最高値となっています(2020年国勢調査より)。いわゆる“独身貴族”として独り身を謳歌する人も増えるなか、問題となっているのが「単身世帯の老後破産」です。この悲劇を防ぐには、どのような対策が有効なのでしょうか。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、事例を交えて解説します。

K氏の自宅は“結婚前提”の戸建て…賃貸にすることで収入UP

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

3.賃貸収入を得る

K氏の自宅は、45歳のときに購入した2階建ての戸建てで、将来家族を持つことを前提に建てられたものです。住宅ローンはすでに完済しています。都心まで電車で15分程度の好立地ですが、1人で住むには広すぎて、掃除も大変だといいます。

 

「できればこぢんまりしたマンションに引っ越したい」という願望を聞いた筆者は、「それなら、KさんはC社にほど近い賃貸マンションに入居し、ご自宅はファミリー向けの賃貸住宅として貸し出すのはいかがですか?」と提案しました。

 

自宅を貸し出した場合、近隣の家賃相場から鑑みると月35万円(年間420万円)の収入が確保できます。一方、新たに借りる賃貸マンションの家賃は月12万5,000円(年間約150万円)ですから、単純に差し引くと月22万5,000円(年間270万円)が手元に残る計算になります。

 

なお、自宅を貸し出す際はあらかじめ期限を決める「定期借家契約」にすることで、K氏の足腰が立たなくなったら自宅を売却し、有料老人ホームに入所する選択肢をとることが可能です。安心安全に老後を過ごす一案といえます。

 

以上3点の見直しを行った場合、K氏の家計収支は[図表2]のようになります。

 

出所:筆者作成
[図表2]筆者とK氏が見直しを行ったあとの家計収支推移予測 出所:筆者作成

※ 家賃収入270万円は純利益(戸建貸出賃料420万円-居住賃貸マンションの家賃150万円)

※ 提案後の収支(口座残高)……自宅の貸出80歳まで、居住用マンションの家賃支払い一生と仮定して算出

 

なお、筆者は60歳前後のご相談者に、資産形成の方法として投資信託や株式といった「金融商品への投資」を勧めることも少なくありません。しかし、K氏は「元本保証のない金融商品への投資は肌に合わない」とおっしゃったため、今回は提案を控えました。

 

まとめ…人生はまだまだ変えられる

K氏は、筆者に相談したことで老後の生活資金に目途がつき、ほっと一安心です。とはいえ、結婚を諦めてはいないようで……「この歳になって、独りでいるのが無常に寂しくなるときがあるんです。結婚してくれる人はいないかな?」とはにかむのでした。

 

 

牧野 寿和

牧野FP事務所合同会社

代表社員/CFP

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。

<参照>

・日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
(nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html)

・日本年金機構「年金の繰下げ受給」
(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html)