銀行員として出世街道を邁進してきた“独身貴族”K氏
現在60歳のK氏は、大学卒業後新卒でB銀行に入社。営業畑を歩み、30代後半で地方支店の課長に、40代で都内の支店長となり、この銀行における“出世街道”を邁進してきました。
しかし、銀行業界のご多分に漏れず55歳で役職定年を迎えたあとは、関連企業に出向。このたび、60歳でB銀行を定年退職しました。
最近、B銀行の取引先であるC社に常勤顧問として迎え入れられたため、70歳までC社に勤める予定です。
“稼いだ金は貯めず、好きに使う”がポリシー
K氏の口癖は、「俺は独りだから、稼いだ金は好きに使う」。給与は貯めることなく、毎月あるだけ使ってきました。気前も面倒見も良かったため周囲からは慕われ、役職定年となったあとも部下や後輩たちと飲み歩く日々が続きました。
役職定年時1,400万円だった年収は、関連会社への出向で700万円まで下がっていました。700万円でも十分な収入ですが、K氏は「出向してからケチになったと思われたくない」というプライドから、銀行員時代の派手な生活水準を下げられずにいたのです。
そのようななか、還暦記念として大学の同窓会が開かれました。久しぶりに会った同級生たちは、しきりに「老後のお金」の話をしています。「老後に向けてなにか準備してる? 俺はいい老人ホーム入りたいから、投資信託で増やしているけど」「嫁に怒られてからさ、あんまり外食しないようにしてるんだ」
どうやら、老後も思いのほかお金がかかるようです。次の日、K氏が自身で家計収支のシミュレーションを行ってみると、80歳ころには家計が破産してしまうことがわかりました。
何度計算し直してもはじき出される「80歳前半で口座残高0円」という結果に、思わず絶句してしまったK氏。
“独身貴族”を気取り、老後の資産形成を怠っていたツケがまわってきたK氏は大焦り。以前からの知り合いである筆者のFP事務所を訪れました。
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