医療の発達や飽食などさまざまな理由により、長寿化が進む日本。しかしその陰で、「8050問題」「老々介護」といった問題も深刻になっています。81歳夫婦のもとで暮らす50歳の息子は、30代半ばで実家に出戻り。実家にお金を入れず、すべて自分のことに使っています。不安を抱えた夫婦に、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPはどのような助言を行ったのでしょうか、みていきましょう。
「かわいい息子。働いているだけで充分よ」…81歳“年金暮らし夫婦”と50歳“ひとり息子”の深刻な現状【FPが警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

このままでは家計が破産して「共倒れ」の危機…最悪の事態を防ぐための解決策

X夫妻から一連の話を聞いた筆者は、夫妻がこれからすべきことと息子のDさんがすべきこととして、下記の3つを提案しました。

 

1.資産状況を可視化し、家族で話し合う

2.“終活”として「エンディングノート」を作成する 

3.介護は「誰が」「どの範囲で」やるのか決めておく

 

1.資産状況を可視化し、家族で話し合う

まず、X夫妻のいまの資産状況と、将来かかる介護費用について、情報収集を行うところからはじめます。そして、これからどのような生活を送っていきたいのかについて、Dさんと真剣に話し合う必要があるでしょう。

 

仮に金銭的な余裕があれば、いまの状況が続いても問題ないかもしれません。しかしX夫妻の場合、このままなにも言わずに現在の状況が続くと、家計が破綻して「親子共倒れ」という最悪の事態が起きかねない状況です。そこでDさんを交えて資産状況を整理することで、現状を可視化することが必要でしょう。また、家族観で情報共有を行うことにより、将来に対して家族一丸となって対策をとることが可能です。

 

2.“終活”として「エンディングノート」を作成する

息子に対してもそうですが、夫婦間でもお金の話や将来について話し合う機会がないというX夫婦。そろそろ話をしなければと思っていた矢先に筆者の講演で「エンディングノート」の存在を知って興味を持ったものの、まだ行動には移していないといいます。

 

エンディングノートとは、自分が希望する「介護」「葬式」「資産状況」などについて記載するノートのことで、“終活”のひとつとして行われます。

 

もし認知症などにかかり、自分の希望が伝えられない状況になってしまうと、本人も家族もどうしたらいいのかわからず困ってしまいます。その点、事前にエンディングノートを作成しておくことで、自分の希望を簡単に共有することができるのです。

 

ただし、エンディングノートは「作ったら終わり」にせず、年に1度は見直すなどして自分の気持ちに変化がないかたしかめることをおすすめします。