医療の発達や飽食などさまざまな理由により、長寿化が進む日本。しかしその陰で、「8050問題」「老々介護」といった問題も深刻になっています。81歳夫婦のもとで暮らす50歳の息子は、30代半ばで実家に出戻り。実家にお金を入れず、すべて自分のことに使っています。不安を抱えた夫婦に、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPはどのような助言を行ったのでしょうか、みていきましょう。
「かわいい息子。働いているだけで充分よ」…81歳“年金暮らし夫婦”と50歳“ひとり息子”の深刻な現状【FPが警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

自らの「危機的状況」に気づき、焦ったDさん

帰宅した両親からいまの状況について聞いたDさんは、「このままでは自分の老後が大変になる」と気がついた様子。「なにかしなければ」と思いましたが、どうすればいいのかわからないと焦っています。

 

そこで、後日ひとりで筆者のところを訪れたDさんには、「まずは収入の一部を貯蓄することからはじめましょう」と伝えました。

 

金融機関には「つみたて定期」という仕組みがあり、毎月一定の金額を口座から積み立てることができます。まずは無理のない金額からはじめ、可能であれば少しずつ金額を増やしていきましょう。

 

また、現在の日本で預貯金や定期預金を行っていても、金利が低いためお金が増えません。しかし、そういうとDさんは「でも、株式投資やFXは仕組みがよくわからないし、大損して大変な目に遭っている人もいると聞くので」と後ろ向きです。

 

そこで筆者は、「NISA」と「iDeCo」について説明しました。

 

NISAはいつでも解約できることに加えて、少額からはじめられるため、株式投資などでは不安が大きいという人におすすめです。Dさんは「不安はありますが、なにもしないよりは」と言い、まずはNISAからはじめることにしました。

 

8050問題は身近な問題…まずは“きちんと向き合う”ことから

未婚化や晩婚化など、さまざまな社会的要因が重なり、今回の事例のような「8050問題」が深刻になっています。

 

今回の例でいえばDさんにあたる、親に頼って生活する「パラサイトシングル」。親が元気なうちは問題ありませんが、親が高齢となり介護が必要になったときに資産が尽きていれば、親子共倒れとなってしまいます。

 

解決策のひとつとして、第三者の客観的な意見を聞くことも有効です。しかし、なにより大切なのは、まずは家族できちんと向き合って、将来について真剣に話し合うことでしょう。

 

 

武田 拓也

株式会社FAMORE

代表取締役