「厚生年金」と「国民年金」の受給額…老後20年で広がる年金格差
都道府県別に年金の受取額をみていきましょう(関連記事:『都道府県「厚生年金」「国民年金」受給額ランキング…2023年3年度末現在 』)。
老齢厚生年金受給者の平均受給月額が最も多いのは「神奈川県」で16万4,088円。前年から1,233円減少しました。2位以下は「千葉県」「東京都」「奈良県」「埼玉県」と続きます。一方で最も平均受給月額が少ないのは「青森県」で12万2,134円。
また老齢基礎年金受給者の平均受給月額が最も多いのは「富山県」で59,940円。最も少ないのは「沖縄県」で5万1,864円でした。
【都道府県別「厚生基礎年金受給額」上位5】
1位「神奈川県」16万4,088円(▲1,233円)
2位「千葉県」15万8,918円(▲1,099円)
3位「東京都」15万7,478円(▲1,183円)
4位「奈良県」15万6,630円(▲971円)
5位「埼玉県」15万5,412円(▲907円)
【都道府県別「国民基礎年金受給額」上位5】
1位「富山県」59,940円(▲94円)
2位「福井県」5万9,250円(▲89円)
3位「島根県」59,211円 (▲65円)
4位「長野県」58,965円(▲85円)
5位「石川県」58,898円(▲99円)
厚生年金『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、厚生年金受給額トップの「神奈川県」の平均給与(男女計、学歴計)は、月収で33万5,600円、年収で539万2,500円。一方、47位の「青森県」の平均給与は、月収で24万7,600円、年収で375万4,200円。この調査の平均給与は当該地域の事業所に勤めている人のものなので、年金受給者と完全一致するわけではありませんが、現役時代に月9万円、1年で160万円ほどあった給与格差は、月4万円、1年で48万円ほどの年金格差となります。
65歳から年金を受け取ると、75歳までに480万円、80歳までに720万円、85歳までに960万円と、老後が20年続けば、1,000万円近くもの年金格差が生じる計算です。
地域によって物価や生活費が異なるので、年金差=生活水準につながるものではありません。ただ2階建て構造の公的年金。サラリーマンで平均16万円程度ということは、税金等が2万円ほどひかれて、手取りは14万円ほどになる計算。これで「老後の生活は十分」かといえば心許ない金額で、不測の事態に耐えられるかといえば難しいでしょう。
今後、高齢化が進み、高齢者を支える現役世代が先細りになるのは確実。2070年には現役世代1人で1人の高齢者を支えなければいけないといわれています。
2070年、ちょうど、これから社会に出ようとする若者がちょうど高齢者となる時代。いまと同水準の年金がもらえるかといえば、難しいと言わざるを得ません。社会に出た瞬間から「年金がもらえたらラッキー」くらいの気持ちで資産形成に励むしか、老後の安心は掴めそうもありません。
[参考資料]