年を重ねるごとに介護リスクは高まり、80代後半にもなると半数以上が要支援・要介護認定を受けているといわれています。介護問題をさらに複雑化させるのが「中高年の引きこもり」。親の年金を頼りに暮らす先に待ち受ける未来とは。みていきましょう。
年金25万円・実家の両親が要介護、長男は引きこもり、貯蓄も使い果たし…50代長女に助けを求めるも「ごめん、私も余裕ない」 (※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親と未婚の子ども…深刻化する「8050問題」

――両親がふたりとも要介護で、貯蓄も尽きたって……

 

実家から離れ、高校生の息子が二人いるという40代女性の投稿。父親はもうすぐ80代。年上の母は80代も半ばだといいます。実家にはさらに独身の長男も。ただし20年以上も仕事をしておらず、引きこもり状態にあるといいます。

 

――母は要介護3で、父も新たに要介護認定を受けた

――介護サービスを利用しながらなんとか生活をしている

――これまでの生活費は、月25万円ほどの年金

 

まさしく緊急事態。引きこもり状態の長男に親を助けることなど期待できず、長女である女性だけが頼りだといいます。しかし子どもの教育費など、これからさらにお金がかかるタイミング。経済的な余裕は女性にはまったくありません。八方塞がりとは、まさしくこのとおり。

 

――ちょっと私も余裕がない

 

そう話すのが精一杯だったといいます。仮に女性が支援できたとしても、両親がいなくなったあとにも、引きこもりの長男は残ります。支援は長男が生きている限り続く……地獄です。

 

全国で深刻化する8050問題。その対策の一環として、2009年、厚生労働省は全国に「ひきこもり地域支援センター」を設置。地方自治体やハローワークと連携し、自立支援や就業支援を行っています。また受注から業務完了まで、すべてをネットで完結できる「クラウドソーシング」は、有効な引きこもり対策になると、注目を集めています。

 

20年近くも引きこもり状態というと、身内だけでの解決は難しいでしょう。第三者の手を借りるのが正攻法だといえます。

 

[参考資料]

内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)』