中高年の引きこもり…推計85.5万人
内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)』によると、引きこもり状態にある人は「15~39歳」で2.05%、「40~64歳」で2.02%。これを人口に当てはめると、「15~39歳」の引きこもり状態は65.2万人、「40~64歳」の引きこもりは85.5万人いることになります。
また各年齢、等しい割合で引きこもり状態の人がいると仮定すると、最も引きこもり状態の人が多いのは「49歳」で4.1万人。人口のボリュームが多いということもあり、年齢と共に増えていく引きこもり状態の人は「48~50歳」でピークに達し、以降は減っていきます(図表)。
ここでいう「引きこもり」は「広義のひきこもり群」といい、 趣味の用事のときだけ外出したり、近所のコンビニなどには出かけたりと、自室や家からほとんど出ない状態が6ヵ月以上続いている人を指します。
この引きこもり状態のいわばピークといえる年齢は、会社人として、まさにピークに達するタイミングで、給与も最高額に達するときです。そのようなときに、なぜ引きこもり状態に……。その理由として最も多いのが「退職したこと」。また調査年の関係から「新型コロナが流行ったこと」も多く、「病気になったこと」「介護・看護を担うようになったこと」「人間関係が上手くいかなかったこと」「職場になじめなかったこと」と続きます。
そして「48~50歳」といえば、就職氷河期と呼ばれる世代。学校を卒業しても就職先がなく、そのまま引きこもり状態になってしまった人。雇われる側が圧倒的に弱く、まだまだパワハラ等が横行していた時代、「イヤなら辞めてしまえ!」と連日罵られ、それがトラウマとなり引きこもりになった人も多くいました。「時代のせいにするな!」と批判を浴びることもありますが、引きこもり状態の人が多いのは、時代とまったく無関係とはいえないでしょう。
50歳を前にして引きこもり状態。そんな彼らを支えるのは、同居する高齢の両親。普通に順番が来たら、いずれ両親はいなくなり、引きこもり状態の子だけが残る。「どうやって生きていけばいいのか」と困窮。いわゆる「8050問題」として問題視されています。