高齢夫婦の1ヵ月の平均支出は23万円だが…
警視庁『特令和4年 特殊詐欺認知・検挙状況等(確定値)』によると、65歳以上の高齢者における特殊詐欺被害の認知件数は1万5,114件で、前年から18.8%増。手口別にみると、最も多いのが「オレオレ詐欺」で27.8%。「還付金詐欺」が25.7%、「キャッシュカード詐欺」が20.1%と続きます。
被害者は、まさか自分が詐欺に引っかかるなんて……と思っているもの。確かに男性の両親も卑屈な犯罪に巻き込まれて苦境に陥っている可能性もゼロではありません。ただ男性は「どうやら、犯罪に巻き込まれた、ということはないらしい」と綴っています。
では実際に高齢者の家計を確認してみましょう。総務省『家計調査 家計収支編(2022年平均』によると、65歳以上の無職の高齢者夫婦のみの世帯における1ヵ月の平均支出は23万6,696円。年金額面で28万円、手取りで23万円……確かに統計上は年金だけではギリギリの生活です。
【高齢夫婦のみ世帯の1ヵ月の平均支出】
消費支出:236,696円
(内訳)
食料:67,776円
住居:15,578円
光熱・水道:22,611円
家具・家事用品:10,371円
被服及び履物:5,003円
保健医療:15,681円
交通・通信:28,878円
教育:3円
教養娯楽:21,365円
その他の消費支出:49,430円
ただ男性の両親の場合、住居費はローン完済のため、住居費はゼロ円。ほかが平均的な支出だとしたら、十分とはいえないまでも余裕はあるはず。一方で受給額が一定水準の年金生活者にとって、インフレの影響は大きく、生活苦に陥る高齢者世帯は相当な数にのぼります。
前出の『国民生活基礎調査』でも、「生活が苦しい」と回答した高齢者世帯は、48.3%と約半数。さらに「大変苦しい」と回答したのは18.1%と、5世帯に1世帯の割合です。
実際に仕送りをするかは、きちんと家計をチェックしてからと男性。「きちんと確認して、本当に生活が苦しいなら、仕送りをするしかない」と綴っていますが、もし、男性と同じように親から「仕送りして!」と頼まれたらどうしますか。物価高、それでもなかなか上がらない給与、子どもの教育費に住宅ローンの支払い……現役世代にとても余裕はありません。「うちはうちで、生活が苦しんだよ!」と思わず逆ギレしてしまいそうです。
[参考資料]
厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』
警視庁『特令和4年 特殊詐欺認知・検挙状況等(確定値)』
総務省『家計調査 家計収支編(2022年平均』