「このままだと潰れてしまいます」…国も悲鳴
団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)に突入し、医療費・介護負担の大幅増加が予測される「2025年問題」も目前に迫る今、「年金」「給与」は国民の最大の関心事となっています。
家計調査より作成された内閣府の経済諮問会議資料によると、社会保険料等がもっとも多いのは45~54歳。実収入のおよそ20%にあたる金額が引かれています。さらに、2006年、勤労者世帯社会保険料は1ヵ月あたり月4万円程度でしたが、2019年の時点で5万5000円にまで跳ね上がっている事実があります。
2019年の財政検証では、「経済成長と労働参加が進むケース」を5パターンにわけ分析し、国の「明るい将来」を予測していますが、「経済成長と労働参加が進まないケース」では、下記のような悲惨な事態が記されています。
“経済成長と労働参加が進まないケースⅥでは、機械的に調整した場合、2052年度に国民年金の積立金が無くなり、完全賦課方式に移行。ただし、ケースⅥは、長期にわたり実質経済成長率▲0.5%が続く設定であり、年金制度のみならず、日本の経済・社会システムに幅広く悪影響が生じ、回避努力が必要。”
超少子高齢社会となった日本。まずは負のスパイラルからの脱却が急がれます。「定年引上げ」をはじめとした働き手増加施策・経済成長施策は、「自力で稼いで生きてください」という、サラリーマン世代への残酷な通達であるとともに、「このままだと潰れてしまいます」と助けを求める、国そのものの悲鳴ともいえましょう。