エリート部長と、万年係長…「圧倒的給与差」も年金額はほぼ同じの衝撃
――「ねんきん定期便」なんて、まじまじと見たこともなかったけど……衝撃だった
そんな言葉は、高収入サラリーマンほど思わず口にしてしまうかもしれません。たとえば、大卒で大企業の部長にまで上り詰めたエリートサラリーマン。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、定年前、59歳時の年収は平均1,326万円です。一方、同期で係長の年収は957万円。その差は400万円近くにもなっています。
会社では圧倒的に差がついてしまっているエリート街道を上り詰めた部長と、万年係長と揶揄される2人。しかし、どちらも「標準報酬月額」は32等級の月額65万円。標準報酬は32等級が上限で、どんなに年収が高かろうが、この2人は同じ年金額になる可能性が高いというわけです。
――えっ、おれがあいつ(万年係長)と同じ年金額⁉ 何かの間違いじゃないの?
そう思う気持ちも分かりますが、日本の年金制度は積立制度ではないので、これが現実。実際の年金額は、サラリーマン時代の全体の給与額に関係するので、1年の給与だけで年金額が同額になるか分かりませんが、現役時代の給与差ほど、年金受給額には差は生じないということです。
理論上、厚生年金の最高額は年間337万円ほど。そこに国民年金を合わせると426万円ほどになります。どんなに現役時代に「1億円プレイヤーでした」とブイブイ言わせていた人でも、年金は400万円強がマックスだということになります。
そして高収入の人ほど気をつけたいのが、定年後の収入落差。高所得者の場合、生活水準も他の人より高いケースが多いでしょう。現役時代の生活水準のまま年金に頼る老後を迎えると、老後の収入落差に対応できない場合も。徐々に生活水準を見直し支出を抑えるようにするか、もしくは現役時代の生活水準を保てるほどの資産を築くかの二択に迫られます。
50代にして「将来、いくら年金をもらえるか分からない」のままだと、「老後資金が足りない!」という非常事態に陥る可能性も。この機会に改めて、将来の年金額を把握し、しっかりと老後生活について考えてみてはいかがでしょうか。
[参考資料]