大学進学率が5割を超え、「大卒」のほうがいまや多数派となっています。大卒であることによって、高収入を得る可能性が高まることから、「とりあえず大学」という流れを加速させています。しかし実際は、大学を卒業しても安心できないのが実態としてあるようで……。FP1級の川淵ゆかり氏が、Aさんの事例とともに、親の年収と子の学歴の関係性について解説します。
年収900万円、国立大卒・大手勤めだった48歳・誇り高き父が土下座…17歳息子に突き付けられた「残酷な現実」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

親から子へ連鎖する「貧困」

親が貧困だと子どももその環境から抜けることが難しくなることが少なくなく、貧困が世代間で連鎖してしまう、という現象があります。

 

貧困の世代間連鎖が起こる原因はいろいろとあるでしょうが、教育の欠如も原因のひとつだと言われています。生活に余裕がなく、教育の重要性がわからない親は、子どもに対して進学よりも就職を望むようになります。知識や技術を得る機会がないと不安定で低賃金の仕事にしか就けなくなる危険性があります。

 

将来、こうした子が親となったときも、教育の重要性もわからずに低賃金の状況のままだと、その子どももまた知識や技術を得る機会を失ってしまいます。こうして貧困は世代間で連鎖していくケースも多く見られます。

高すぎる教育費用

ほかにも子どもの教育にお金がかかりすぎる、という現状もあります。文部科学省が発表した令和3年度の学習費の総額は次のとおりです(前回調査平成30年度)。


 

公立幼稚園 16万5,126円(前回 22万3,647円)
私立幼稚園 30万8,909円(前回 52万7,916円)

 

公立小学校 35万2,566円(前回 32万1,281円)
私立小学校 166万6,949円(前回159万8,691円)

 

公立中学校 53万8,799円(前回 48万8,397円)
私立中学校 143万6,353円(前回140万6,433円)

 

公立高等学校(全日制)  51万2,971円(前回 45万7,380円)
私立高等学校(全日制)  105万4,444円(前回 96万9,911円)

文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」より引用

 

3年間で小学校~高等学校まで公立・私立とも学習費がアップしているのがわかります。また、無償の義務教育といっても、完全に支出がゼロではなく、給食費や通学費、学用品費といった支出が各家庭では必要になっています。なお、生命保険文化センターが公表している大学での教育費総額は次のとおりです。

 

[図表1]大学生の教育費総額

生命保険文化センター「大学生にかかる教育費はどれくらい?」より引用

 

・高校までにお金がかかりすぎて、大学や専門学校への進学を諦めた。

・大学での費用負担が大きすぎて、進学を諦めた。

 

といった理由もあるでしょうが、昨今では「早期退職」「役職定年」など、親の突然の収入ダウンにより進学ができなくなった、というケースもあります。こうした実態を受け、東京都の所得制限を撤廃した高校無償化や、異次元の少子化対策の一環として子3人以上で大学無償化といったニュースが世間を賑わせています。

 

子どもの小さいうちはお金があっても、成長につれあらゆる理由で家計に余裕がなくなってくる、ということもよくあります。子どもの小さいころに不必要に習い事等へお金をかけすぎない、ということも必要です。