おひとり様高齢者10人に1人が生活保護…1人で最期を迎えるしかないのか?
もうひとつは「生活費」。おひとり様の高齢者は低年金の傾向が高く、貧困に直面するケースが多いとされています。
厚生労働省『被保護者調査(令和5年9月分)』によると、生活保護を受けている世帯は全国に164万2,209世帯。そのうち「おひとり様高齢者」は84万2,521世帯と過半数を占めています。またおひとり様高齢者の10人に1人以上が生活保護を受けている、という現状です。
たとえば東京都23区に在住、70代のおひとり様だとすると、最低生活費=生活扶助基準額は7万4,220円、最低家賃=5万3,700円。合計12万7,920円となります。預貯金などほとんどなく、頼りになる年金も生活保護費以下……そんな「おひとり様高齢者」が全国に80万人以上もいるわけです。
家を借りるのもひと苦労、さらに低年金で生活はカツカツ……そんなおひとり様の高齢者。年を重ねるごとに身体は不自由になり、要支援・要介護となったら、さらに大変です。
介護サービスを利用して自宅で暮らし続けることも可能ですが、独り身でさらに日常生活に不自由が多くなると心細くなってしまうもの。そこで考えたいのが「老人ホームへの入居」です。
老人ホームへの入居の際、まず初期費用として入居一時金、そして月額の利用料を考える必要があります。入居一時金は家賃の前払いみたいなもので、ゼロ円~高級なホームになると数億円とピンキリ。また月額費用は15万~30万円程度と幅があり、さらに月額費用に含まれないサービスも含めると、プラス数万円~を見据えておく必要があるでしょう。
相場から考えると、生活保護費以下の低年金・預貯金なしの「おひとり様高齢者」の場合、とても老人ホームへの入居は夢物語のように感じます。
――1人で死ぬしかないのか……
そんな絶望に襲われることでしょう。低年金で預貯金がなくても入居できる老人ホームはないのでしょうか?
結論からいえば、公的な老人ホームであれば、誰でもというわけではありませんが、低年金でも入居することができます。
特別養護老人ホーム、いわゆる「特養」は、「要介護3以上」の認定を受けている人が対象。初期費用はゼロ円~、月額費用は5万円~程度です。ただし入居には条件があり、身体状況や生活環境などから点数化され、順番が回ってきます。そのため1年以上も入居待ち状態、というのも珍しくありません。
介護老人保健施設、いわゆる「老健」は、退院後、在宅で生活できるようになるまで回復を目指す施設。初期費用はゼロ円~、月額費用は6万円~程度。「介護医療院」は医療や介護、リハビリテーションを提供する施設で、医療の必要度が高い高齢者向け。初期費用はゼロ円~、月額費用は6万円~程度。「ケアハウス」は自宅での生活が困難だったり低所得だったりする人を対象にした施設で、一般型と介護型があります。初期費用はゼロ円~、月額費用は6万円~程度。
2023年度、国民年金を満額受給できていれば「月6万6,250円」。公的な老人ホームであれば「年金月6万円、預貯金なし」でも入居できそうです。また生活保護を受けていても老人ホームへの入居は可能。なかには生活保護受給者を対象にした料金体系を用意している施設もあります。
低年金・預貯金ゼロを理由に、老人ホームへの入居を諦める必要はありません。
[参考資料]