東京都は世帯年収910万円未満の制限を撤廃し、私立高校含めて授業料を実質無償化にするというニュースが大きな話題になっています。対して、国が打ち出しているのは、高校生がいる世帯の増税……人々の反応をみていきましょう。
東京都「私立高校も実質無償化」に〈年収1,000万円超の40代共働き夫婦〉歓喜…「岸田総理!これが子育て支援です」 (※写真はイメージです/PIXTA)

東京都は「高校生世帯負担軽減」、政府は「高校生世帯負担増」

もちろん、都内私立高校も実質無償化に対して、「私立無償化により格差が拡大するのではないか」「私立高校を無償化するなら、公立高校に還元するほうが良い」「財政が苦しい地方では真似できない。地方との格差がさらに広がる」など、否定的な声も聞こえてきます。

 

確かに東京都は47都道府県のなかでも、平均年収がダントツトップの自治体。地方と比べると、収入面では余裕のある家族が多いのも事実。しかし家賃は高く、物価高が止まらないなかでは、東京都在住の家族に余裕があるとはいえません(関連記事:『都道府県「平均年収」ランキング…1~47位【2022年最新版】』)。

 

またこれまで所得制限となっていた世帯年収1,000万円前後は、行政からの支援のボーダーラインとなることが多く、「ほんと、大変……」と嘆きの声が多く聞かれました。そこにきての「所得制限撤廃」「私立も実質無償化」の方針は、ほとんどが英断と評価しているようです。

 

一方、東京都の方針に対して、岸田総理・政府が進める「異次元の子育て」にも注目が集まっています。先日報道されたのは、いわゆる「高校生増税」。高校生がいる世帯の扶養控除を見直し、所得税で38万円、住民税で33万円としている控除の水準を、所得に関係なく一律で引き下げ。税負担は児童手当の範囲内にとどめるようにするという方針が発表されました。

 

それに対して「子育ては中学生で終わりじゃない!」「高校から大学までいくらかかるか知っているのか!」などと批判が殺到。実現する可能性が高いとはいえ、検討段階というニュース。それにも関わらず、「異次元の少子化対策」を掲げている岸田総理に対して、「本当に子育てを応援する気はあるのだろうか?」と批判が集中しました。

 

高校から大学生の子の教育費用(入学・在学費用)は、平均942.5万円/1人。1人当たり年130万円ほどと、かなりの大きな負担です(日本政策金融公庫『教育費負担の実態調査結果』(2021年12月20日発表)より)。

 

そして今回の高校授業料無償化の報道。

 

――岸田総理、これが子育て支援だ

――国は子育て世帯に厳しく、東京都は子育て世帯に優しい……それってどうなの?

 

といったように、国と東京都の方針を対比させ、国の方針を疑問視する声が多数聞こえてきます。東京都の財政規模は他道府県と比べて飛びぬけて大きく、どこか異次元なところもありますが、少子化は東京都だけでなく地方でも重要課題。(先陣を切ったのは大阪府と、功績を推す声も多く聞かれますが)東京都を称賛する市民の声を受けて、追随する地方自治体も出てくるのか、さらには国も少子化対策に本腰を入れてくるのか、注目が集まっています。

 

[参考資料]

東京都『令和4年度東京都福祉保健基礎調査「東京の子供と家庭」』

日本政策金融公庫『教育費負担の実態調査結果』(2021年12月20日発表)