満室経営を続ける「アパートオーナー」…突如、税務調査のターゲットになったワケ【税理士が解説】

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満室経営を続ける「アパートオーナー」…突如、税務調査のターゲットになったワケ【税理士が解説】
(写真はイメージです/PIXTA)

事業を行っている限り、すべての人が税務調査の対象になります。賃貸経営を行う不動産投資家も調査の対象になりますが、一口にアパートオーナーといっても、税務署に「狙われやすい人」と「狙われにくい人」の傾向があるといわれています。本記事では、多賀谷会計事務所の現役税理士・CFPの宮路幸人氏が事例を基に、アパートオーナーを対象とする税務調査の実態について解説します。

「任意調査」を拒否できないワケ

なぜなら国税庁の職員には、必要ならば、納税義務者に対して質問・検査できる質問検査権というものが与えられており、税務調査を行う権利が法的に認められているためです。

 

この任意調査を拒否した場合、国税通則法128条により1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる旨が規定されているため、任意調査といいつつも、実際はほぼ強制となっています。

 

アパートオーナーが調査の対象になるケースとしては、上記のように修繕費などの必要経費が大きく増加した場合や、雑費などの経費科目が他の不動産所得者に比べて不自然に多額な場合、新たに賃貸物件を購入して賃貸収入が大きく伸びた場合などが考えられます。

 

一般的に収入規模が大きくなるほど税務調査に入られやすくなるといえるでしょう。

 

税金対策の1つとして、アパートオーナーが新たに賃貸物件を購入する場合、新築よりも中古、また鉄筋よりも木造のほうが耐用年数が短くなり、多額の減価償却費を計上することができます。

 

そのため、そのような物件をねらって購入するアパートオーナーもいます。ただし、税金対策になるといっても、賃貸経営においては入居者の入りやすさ、ひいては空室率をどこまで低く抑えられるかといった点が重要になりますので、購入の際はよく検討すべきでしょう。

 

また、賃貸物件が経過年数により劣化し、将来的に賃料の低下が見込まれる場合などは、売却を検討するのもよいかもしれません。

 

売却して利益が出るような場合、譲渡所得税という税金を納めることになります。

 

取得後5年超の売却であればその差益に対し20.315%の税金がかかりますが、5年以内の場合、税率は39.63%とほぼ倍になりますので、売却のタイミングは慎重に検討すべきでしょう。

インボイス制度の開始でますます重要になるアパートオーナーの「税務の知識」

アパートオーナーが賃貸経営を行う場合、会計処理や税金等と深くかかわりあうことになります。アパートオーナーとしては基本的には青色申告が有利となりますので青色申告を選択し、日々正しい記帳をすることが大切です。

 

一般的に、アパートオーナーは「不労所得で収入を得られて羨ましい」と周りから思われることも多いでしょう。しかしながら、実際はそのオーナーの熱意等により所得が大きく左右されることも少なくありません。

 

やはり借りている人が住みやすい環境を提供するオーナーが生き残っていくように感じます。

 

賃貸物件も、必要なメンテナンスや大規模修繕などをおろそかにしてしまうと、入居者数や賃料が低下していくことになります。

 

また、今年からインボイス制度が始まったこともあり、アパートオーナーには税務等の正しい知識がますます求められるようになっています。いつ税務調査がやってきても慌てることのないよう、ポイントを押さえておきましょう。

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※本記事は、「不動産業界から『あなた』を守ります」をコンセプトに株式会社LandSitzが運営する『不動産投資の裏側を知る教科書』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。