2023年11月、ビットコイン以外の暗号通貨(アルトコイン)のなかで有名な「イーサリアム」の価格が急騰しています。この動きは今後も続くのか、それとも投機筋による一時的な動きなのでしょうか。今回、マネックス証券の暗号資産アナリスト松嶋真倫氏が、「イーサリアム」の“現在地”と“将来性”について解説します。
アルトコイン「イーサリアム」今月に入り価格高騰…“いまから投資”していいものか【暗号資産アナリストの見解】 (※写真はイメージです/PIXTA)

いまから買っていいものか…イーサリアムの将来性は?

前半のように、暗号資産の短期的な材料としてはETFばかりが注目されていますが、イーサリアムそれ自体の将来性について知らなければ、投資することはできません。後半部分では、そもそもイーサリアムとは何なのか、それがどう活用されることで価値が向上していくのかについて、基本に立ち返りながら述べていきます。

 

そもそもイーサリアム、ETH(イーサ)とはなんなのか

イーサリアムについてはさまざまな説明があるため端的にいうと、ひとつは誰でも使用閲覧ができるデータベースです。そしてもうひとつは、プログラムの書き込みから実行まで可能なコンピュータです。

 

そのプログラムのことを「スマートコントラクト」と呼び、スマートコントラクトを組み合わせることによって、イーサリアム上で「Dapps」と呼ばれる色々なアプリを作ることができます。

 

私たちが暗号資産取引所で取引しているETH(イーサ)は、このデータベースの更新やコンピュータの実行のために使用されます。これらのリソースを世界中の人が無制限に使えてしまうと、過剰な負荷によってネットワークを維持することが難しくなります。そのため、イーサリアムでは「ガス代」と呼ばれる手数料の仕組みが導入されているのです。

 

ここでひとつの問題が生じます。イーサリアムが使われるほどETH(イーサ)の価値は上昇しますが、それに応じて使用にかかる手数料も高騰してしまうのです。このスケーラビリティの問題を解決しようと、イーサリアムのコミュニティは開発と議論を続けており、「誰でも滞りなく安価に使用できるワールドコンピュータを構築すること」を目指しています。

イーサリアムへの投資は、すなわち「未来」に投資すること…長期の視点が大切か

今後訪れるであろうweb3.0のインターネットでは、ブロックチェーンが基盤技術として考えられており、イーサリアムがその中心になると期待されています。

※Web3.0:ブロックチェーン技術を用いることでインターネットがさらに分散化の度合いを強めた姿を指す言葉(野村総合研究所より)。

 

web2.0では、IT関連株に投資することはできても、インターネット自体の価値を保有することはできませんでした。しかしweb3.0では、ETH(イーサ)を保有することで分散的なネットワークそのものの価値を保有することができるのです。

 

web3.0の到来とともにイーサリアムの価値が大きく向上するのか、あるいは別の技術がその立場を奪うのかはまだわかりませんが、少なくとも現時点においてはイーサリアムに投資することが、すなわち「web3.0の未来」に投資することであると言えるでしょう。

 

 

松嶋 真倫

マネックス証券 マネックス・ユニバーシティ

暗号資産アナリスト