いまから買っていいものか…イーサリアムの将来性は?
前半のように、暗号資産の短期的な材料としてはETFばかりが注目されていますが、イーサリアムそれ自体の将来性について知らなければ、投資することはできません。後半部分では、そもそもイーサリアムとは何なのか、それがどう活用されることで価値が向上していくのかについて、基本に立ち返りながら述べていきます。
そもそもイーサリアム、ETH(イーサ)とはなんなのか
イーサリアムについてはさまざまな説明があるため端的にいうと、ひとつは誰でも使用閲覧ができるデータベースです。そしてもうひとつは、プログラムの書き込みから実行まで可能なコンピュータです。
そのプログラムのことを「スマートコントラクト」と呼び、スマートコントラクトを組み合わせることによって、イーサリアム上で「Dapps」と呼ばれる色々なアプリを作ることができます。
私たちが暗号資産取引所で取引しているETH(イーサ)は、このデータベースの更新やコンピュータの実行のために使用されます。これらのリソースを世界中の人が無制限に使えてしまうと、過剰な負荷によってネットワークを維持することが難しくなります。そのため、イーサリアムでは「ガス代」と呼ばれる手数料の仕組みが導入されているのです。
ここでひとつの問題が生じます。イーサリアムが使われるほどETH(イーサ)の価値は上昇しますが、それに応じて使用にかかる手数料も高騰してしまうのです。このスケーラビリティの問題を解決しようと、イーサリアムのコミュニティは開発と議論を続けており、「誰でも滞りなく安価に使用できるワールドコンピュータを構築すること」を目指しています。
イーサリアムへの投資は、すなわち「未来」に投資すること…長期の視点が大切か
今後訪れるであろうweb3.0※のインターネットでは、ブロックチェーンが基盤技術として考えられており、イーサリアムがその中心になると期待されています。
※Web3.0:ブロックチェーン技術を用いることでインターネットがさらに分散化の度合いを強めた姿を指す言葉(野村総合研究所より)。
web2.0では、IT関連株に投資することはできても、インターネット自体の価値を保有することはできませんでした。しかしweb3.0では、ETH(イーサ)を保有することで分散的なネットワークそのものの価値を保有することができるのです。
web3.0の到来とともにイーサリアムの価値が大きく向上するのか、あるいは別の技術がその立場を奪うのかはまだわかりませんが、少なくとも現時点においてはイーサリアムに投資することが、すなわち「web3.0の未来」に投資することであると言えるでしょう。
松嶋 真倫
マネックス証券 マネックス・ユニバーシティ
暗号資産アナリスト