介護が必要になったらどうしたのか、親の意向はきちんと聞いておきたいものですが、なかなか聞けるものではありません。またしっかり聞いていたとしても、希望通りにいかないこともあるようです。みていきましょう。
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要介護になったら、誰に介護してもらいたい? どこで介護されたい?

きちんと親と話し合うことが重要。とはいえ、やはり聞くのはハードルが高いと感じることも。そこで厚生労働省『令和4年 高齢者の健康に関する調査』で、いまどきの高齢者の介護に対する考え方を紐解いていきましょう。

 

もし要介護となり排泄等の介護が必要となったら、半数の高齢者は介護サービスの利用を希望しています。一方で3割は配偶者に介護をお願いしたいと希望。男女別にみると、男性は配偶者に介護を依頼したいと考える傾向が強く、女性は介護サービスの利用を希望する傾向にあります。また介護費用は、自身でまかなう意向が強いようです。

 

Q.将来、排せつ等の介護が必要な状態になった時、 誰に介護を頼みたいか

・介護サービスの人…46.8%

・配偶者…30.6%

・子…12.9%

・子の配偶者…1.0%

 

Q.介護に係る費用は、どのようにしてまかなう?

・年金等で賄う…63.8%

・貯蓄で賄う…18.3%

・資産などを売却して賄う…3.1%

・子などに援助を受ける…4.3%。

 

また平成30年の同調査になりますが、どこでどのような介護を受けたいかを聞いたところ、「自宅で家族中心」が18.6%、「自宅で家族と介護サービスを組み合わせて」が17.5%、「自宅で介護サービス(家族に依存しない)」が37.4%。「有料老人ホームや介護付き高齢者住宅への入居」が12.1%、「特別養護老人ホーム(特養)への入居」が6.9%、「医療機関への入院」が6.0%となっています。

 

男女共通で自宅での介護意向が強い一方で、女性のほうが「家族には頼りたくない」という意識が強いことが分かります。夫婦の年齢差や男女の平均寿命から考えると、妻が夫の介護をし、看取った後に妻の介護が必要になるというケースが多いでしょう。介護の大変さを知っているだけに「家族には迷惑をかけたくない」という思いが強くなると考えられます。

 

Q.どこでどのような介護を受けたいか

◆男性

自宅で家族中心…24.0%

自宅で家族と介護サービスを組み合わせて…18.9%

自宅で介護サービス(家族に依存しない)…31.0%

有料老人ホームや介護付き高齢者住宅への入居…10.6%

特別養護老人ホーム(特養)への入居…7.1%

医療機関への入院…6.7%

 

◆女性

自宅で家族中心…13.9%

自宅で家族と介護サービスを組み合わせて…16.2%

自宅で介護サービス(家族に依存しない)…43.0%

有料老人ホームや介護付き高齢者住宅への入居…13.5%

特別養護老人ホーム(特養)への入居…6.7%

医療機関への入院…5.5%