高齢化と共に増えているのが、お1人さまの高齢者。悠々自適な老後を過ごしているのであれば問題はありませんが、経済的に困窮しているケースも珍しくありません。またお1人さまの高齢者が陥りやすいリスクも。みていきましょう。
年金月8万円では生きていけず「生活保護」も受けられない…〈お1人さま高齢者〉孤独の先に待つ「最悪の結末」 (※写真はイメージです/PIXTA)

月収8万円未満の高齢者、推定230万世帯以上

厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯(65歳以上の人がいる世帯)は2,747万世帯で、総世帯数に占める割合は50.6%と、過半数を超えました。

 

さらに細かく見ていくと、「夫婦のみの世帯」が882.1万世帯、「1人暮らし世帯」が873.0万世帯と僅差。「親と未婚の子世帯」は551.4万世帯。親子、そして孫と「3世代世帯」は194.7万世帯となっています。

 

なかでも増えているのが単独世帯。2000年代初頭の2001年調査では、「1人暮らし世帯」は317.9万世帯、「夫婦のみの世帯」は454.5万世帯でした。この20年で、高齢者の「1人暮らし世帯」は2.7倍、「夫婦のみの世帯」は1.9倍に増加しました。いわゆる“お1人さま”が急拡大しています。

 

仕事を辞めて完全引退状態となっている人が多い高齢者。その「収入の100%が公的年金」は44.0%。「収入の80~100%」は16.5%、「60~80%」は13.9%と、やはり年金への依存度はかなり高いといえます。

 

国民年金(老齢基礎年金)の満額支給は、令和5年度79万5,000円。また厚生労働省の調査によると、厚生年金受給者の平均受取額は月14万5,665円です。

 

一方、前出の調査で高齢者世帯の収入分布をみてみると、「200万~300万円未満」が最多で20.2%。「100万~200万円未満」が18.7%、「300万~400万円未満」が15.5%と続きます。一方で「収入が100万円にも満たない高齢者世帯」は8.6%。これをこのまま数に当てはめると、年収100万円未満の高齢者世帯は236万世帯にもなり、また「1人暮らし世帯」においても同じ割合で存在するとすると、75万人のお1人さまが、年収100万円未満、1ヵ月にすると8.3万円未満ということになります。

 

【高齢者世帯の収入分布】

~100万円未満:8.6%

100万~200万円未満:18.7%

200万~300万円未満:20.2%

300万~400万円未満:15.5%

400万~500万円未満:10.5%

500万~600万円未満:6.7%

600万~700万円未満:5.1%

700万~800万円未満:3.6%

800万~900万円未満:2.7%

900万~1,000万円未満:1.9%

1,000万~2,000万円未満:5.5%

2,000万円以上:1.0%

 

厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』