実家と疎遠になっていた50代男性、母が亡くなり、3年ぶりに帰省すると…
親からも子からも、お互いを気遣う優しさが感じられる調査結果ですが、そんな思いがこじれて疎遠になるケースもあるのではないでしょうか。
ーー気にしてる? ちゃんとごはん食べてる
ーーあっ、元気だから気にすんな。ちゃんと仕事しろ
ーー今度の正月……
ーーあームリに帰ってこなくていいから。お金、もったいないべ
そんな感じです。特にコロナ禍では、お互いに感染させてはいけないと、実家への帰省を控えていた人も多いでしょう。「80代の母が亡くなり、3年ぶりに実家に帰りました」と投稿した50代の男性もその1人。父が亡くなった後、同居を呼びかけたものの、「お金の心配もないし、自宅も離れたくないし」と断られたそう。
夫を亡くした平均的な80代の妻(母)であれば、自身の国民年金と夫の遺族年金で、月14万円程度の年金収入があったでしょう。持ち家であれば、80代の高齢者1人が暮らしていくなら十分だったはずです。なによりも年老いてから違う環境で暮らすのは、若い人が思っている以上にしんどいもの。同居を断るのも自然なことだったのかもしれません。
話には続きがあり、3年ぶりに訪れた実家は、すっかりとごみ屋敷になっていたのだとか。「確かに片づけが苦手な人で、なんでも『もったいないから!』ととっておく人ではありましたが……実家がこんな惨状になっているとは思いもしませんでした」と男性。実家の片付けのために往復8時間。5回ほど通ったといいます。「業者に見積りを出したら、100万円近くかかると言われ……諦めました」と嘆きます。
環境省が全国1,741市区町村に行った『令和4年度「ごみ屋敷」に関する調査報告書』によると、直近5年間でごみ屋敷事案の認知している自治体は661で4割弱。都道府県単位でみていくと、最もごみ屋敷の数が多いのは「東京都」で880件。「愛知県」538件、「千葉県」341件、「神奈川県」323件、「兵庫県」275件と続きます。また世帯数当たりのごみ屋敷の数をみていくと、最も多いのが「高知県」で10万世帯あたり7.59件。「佐賀県」「三重県」「鳥取県」「福井県」と続きます。
あくまでもごみ屋敷事案の認知方法は「市民からの通報」が88.7%など。近隣から苦情が出るレベルになって初めて「あそこのごみ屋敷は……」と認知されます。室内だけ荒れ放題というレベルのものを入れると、さらに多くなると考えられます。
親が亡くなり、思い出話に花を咲かせながら遺品整理……そんな風景はごみ屋敷の場合はありません。男性のように業者に作業を頼めば、数10万~100万円程度の費用がかかることもザラです。最終的に子どもに負担をかけてしまう……残念過ぎる結末になってしまうわけです。
親子が疎遠になってしまうと、実家がごみ屋敷に……そんなケースも増えてしまうでしょう。「最近、実家に帰っていないなあ」というのなら、今年の年末には久々に帰省してみてはいかがでしょうか。