障害者を支えるサポートである「障害年金」。しかし「発達障害では障害年金は受け取れない」とよくいわれています。この噂、本当なのでしょうか?
平均年金月7万円だが…「発達障害の子」は「障害年金」をもらえますか? (※写真はイメージです/PIXTA)

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「発達障害で障害年金受給は難しい」は本当か?

障害を抱える人の公的なサポートとして代表的なものが「障害年金」。病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合、現役世代も含めて受け取ることができる年金です。病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。

 

「障害基礎年金」は障害等級の1級・2級に該当する障害がある場合に受け取れる年金。「障害厚生年金」は障害等級の1級・2級に該当する場合に、「障害基礎年金」に加算されて支給。障害等級3級に該当する場合は「障害厚生年金」のみ受け取ることができます。

 

「障害等級」は厚生労働省が定めた障害の程度を認定する基準で、医師の診断書に記載されている症状や、日常生活の能力・労働の能力などにより総合的に判断し決められます。「障害者手帳」にも障害の程度に応じて等級がありますが、「障害年金」とは別制度。等級の判定も異なり、障害者手帳の等級と障害年金の等級が一致するとは限りません。また障害手帳を取得していなくても、障害年金を受給することはできます。

 

問題は「発達障害でも障害年金を受けられるのか」ということ。ネットで検索すると「発達障害 障害年金 難しい」というワードが並びます。そのため、初めから障害年金の受給を諦めているケースが多く見られるといいます。現在、発達障害の障害等級については、以下のように区分されています。

 

◆1級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの

◆2級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

◆3級

発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

 

出所:厚生労働省『国民年金・厚生年金保険 障害認定基準』

 

障害基礎年金でもらえる金額は、現在、障害等級2級で毎月6万4,816円、1級で毎月8万1,020円。また厚生労働省『令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、「障害基礎年金」の平均受給額は月7万1,868円、「障害厚生年金」は9万6,998円です。

 

ただ上記の区分をみてみると分かる通り、障害等級3級は「労働が著しい制限を受けるもの」と、就業が制限されるケース。発達障害の障害等級3級は障害厚生年金の受給対象であるものの、安心できるほどの金額がもらえるかといえば実際は難しいでしょう。

 

とはいえ発達障害でも障害等級の認定がされれば、障害年金を受け取ることができます。「発達障害で障害年金を手にするのは難しい」という情報に惑わされず、まずは専門家に相談をするのがおすすめです。